【ツアー報告】アホウドリに会いたい!東京~八丈島航路 2018年3月23日~24日
(写真:アホウドリ 撮影:早川弘美様)
一年を通してさまざまな航路でさまざまな海鳥たちとの出会いを求めるツアーを企画しておりますが、まだまだ肌寒い早春の東京~八丈島航路の主役は、地味な種類が多い海鳥の中でもひときわ美しいアホウドリの成鳥です。ちょうどこの時期は鳥島などで繁殖しているアホウドリたちがこの海域に餌を求めてやってきているため個体数が多く、そのため出会いの確率が高いのが特長です。そしてこの航路は集合時間が遅い上に集合場所が竹芝桟橋ということでアクセスが良く、実際の乗船時間が短いことから比較的ご参加いただきやすい航路探鳥であることも見逃せないポイントでしょう。今回は出発日の日中は波が高い状況でしたが出発時には穏やかになる方向で、観察日の朝には穏やかになっているという予報でした。
23日、東京竹芝桟橋に20:00に到着して乗船チケットの準備をしていましたが、週末ということもあり、また各島でイベントやツアーが企画されているらしくかなり混んできていました。集合時間の21:30前にはほとんど集合が完了しているようだったため少々早めに資料配布を行い、観察で使用するトラベルイヤホンの使用方法や音声チェックを行いました。また連絡事項や要注意の海域などをお伝えしてからアナウンスに合わせて22:00から乗船を開始して、橘丸は予定通り22:30に三宅島に向けて出航しました。
24日、深夜に船体が揺れることもありましたが、意外なことに予定よりもかなり早い04:25に船内アナウンスがありこの日は三宅島の伊ヶ谷港に着岸すること、また早くも御蔵島は欠航となる旨が伝えられました。橘丸は予定よりもやや早い04:45に三宅島に着岸し05:05に出航しました。それにあわせるようにデッキにて観察準備を開始しましたが外は小雨が降っていました。まだ薄暗い中でしたが海上を飛翔するオオミズナギドリの群れが見られ、その後、06:30頃からはようやく褐色の上面、白い頭と下面の模様がわかるようになってきました。ただこの頃はうねりが2mほどあり、海鳥たちが波の後ろ側に回り込むと見えなくなってしまうほどでした。その後、この日初のクロアシアホウドリが後方から現れ、うねりの中を飛翔するオオミズナギドリの大群を見ながら御蔵島を通過し、八丈島に到着しました。八丈島ではミツユビカモメ、ウミネコ、ウミウ、イソヒヨドリ、ハクセキレイなどが見られ乗船後は再び観察準備に取り掛かりました。早速、連続してクロアシアホウドリが見られ、ようやくアホウドリの成鳥が出現し、距離はあったものの悠々と美しい飛翔を見せてくれました。その後は再びオオミズナギドリの大群の乱舞が見られ、ヒレアシシギ類の飛翔も見られました。その後は御蔵島を経由して三宅島に向かいましたが、この時期は島から離れる人たちがいることから御蔵島でも見送る人、そして見送られる人の別れのセレモニーが見られ、航路探鳥だからこそ味わえる島旅らしさを垣間見ることができました。出航後はコアホウドリが連続して複数観察され、カンムリウミスズメの姿も比較的多く観察できました。その後は連続してクロアシアホウドリが見事な飛翔を見せる中、三宅島錆が浜に着岸しました。出航後は着水しているアホウドリの亜成鳥が見られ、その後はコアホウドリが飛ぶ中、マッコウクジラのブローが上がり、珍しく背びれを見せながら泳ぐ姿を見ることができました。その後はコアホウドリとクロアシアホウドリが連続して出現する中、アホウドリの成鳥個体が現れ、直後には7~8羽のクロアシアホウドリと共に着水しているアホウドリの成鳥が見られ、その全てが一斉に飛び立つ様子を観察することができました。光線はそれほど良くありませんでしたが、ようやく良い距離感でアホウドリの成鳥個体を観察することができました。その後もコアホウドリとクロアシアホウドリが連続して見られる時間帯が続き、クロアシアホウドリが連続して間近を飛翔してくれました。東京湾が近づいてきた頃でもオオミズナギドリの乱舞が見られ、最後の最後までクロアシアホウドリが見られ、最後にはフルマカモメも現れて観察を終了しました。
我々、鳥の観察会の得意分野ともいえる海鳥観察ツアー。定期航路から漁船クルーズまでさまざま企画しています。定期航路は船が大型のため揺れに強く、海況によってはデッキで三脚を構えての観察、撮影が可能というメリットがありますが、反面、鳥までの距離を簡単には詰められないデメリットもあります。ただこの東京~八丈島航路で乗船している橘丸は定期航路に就航している船の中では大型ではないため海鳥観察には比較的敵しているような気がします。今回も途中うねりが大きかったですが揺れもそれほど感じませんでした。主役のアホウドリは計10個体ほどが見られ、この時期の八丈島航路らしく白い羽毛が多い成鳥個体が多く観察できました。またクロアシアホウドリは例年通り個体数が多く、比較的近くを飛翔してくれる個体も多くいました。一方で過去、春のこの航路ではあまり見かけることがなかったコアホウドリの個体数が多かったことには驚かされました。こういった変化を感じられることにも発見があり興味深かったように感じました。体力を使う海鳥観察でしたが、また違う航路、違う季節に海鳥観察にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史
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