【ツアー報告】日本海に浮かぶ珍鳥の宝庫 春の見島 2018年4月26日~28日

(写真:ヤツガシラ 撮影:鶴田学様)

春の渡り期には多くのバードウォッチャーたちが離島に出かけ、普段なかなか目にすることができない珍しい鳥たちとの出会いを楽しみます。その離島にはさまざまありますが、この春から新たなスポットとして山口県萩市の沖にある見島へのツアーを企画しました。実際、私はこの島に行ったことはないのですが、見島に数十年通っている方のご協力が得られたことから企画することができました。見島は萩市沖45kmに位置し、963名の方が住み、面積7.73㎢、周囲24.3㎢の島で高速船「おにようず」で萩港から75分で南部の本村に到着することができます。

26日、早朝から晴れ間が見える東京駅を新幹線で出発し、途中、名古屋駅、新山口駅でお客様と合流し、新山口駅からはバスにて1時間ほど走り、ちょうどお昼頃に萩港に到着しました。ここでさらに2名のお客様と合流した後は、一旦各自昼食をとっていただき、予定通り12:45に見島に向けて出港しました。天候は良く青空が広がっていましたが風は冷たくデッキに出るとフリーズジャケットが必要なほどでした。しばらくするとオオミズナギドリの飛翔が見られ、2羽のカンムリウミスズメの飛翔を見ながら14:00に見島本村港に到着しました。到着後は一旦宿に向かい、準備をしてから再度出発することにしました。この日は3時間ほどしかないため徒歩にて探鳥しました。途中、グランドには10羽ほどのツグミが群れ、電線にはコムクドリのメスの姿がありました。付近をよく見てみるとコムクドリは複数いて、木に止まるオス個体も見ることができました。ただこの日は鳥影は少なく、タヒバリの小群、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、そして夏羽のアマサギが見られたほか、夏羽のウズラシギ、タカブシギが見られただけでした。周辺ではエゾムシクイの声が聞かれ、木に止まって休むミサゴが見られました。その後は宿まで戻り、カシラダカ、ノビタキ、そしてタイワンハクセキレイの姿を観察して終了しましたが、いつの間にかかなり肌寒い状況になっていました。

27日、冷たい風が吹き、天気予報に反して曇り空の下、徒歩探鳥を行いました。この日は電線にツグミの群れが止まり、水田ではカワラヒワ、そして昨日に引き続いてサギ類が群れていました。鳥影は少ないものの、やはり鳥たちは渡っているらしく上空からはビンズイやサンショウクイの声が響いていました。そして帰り際には電線に止まるコムクドリとムクドリが見られ、グランドではノジコの姿がありました。朝食後は再び徒歩探鳥を行い、木に隠れるようにしてノジコとコルリがさえずっていました。またキンクロハジロの姿があり、少々進んだところではエゾムシクイ、ノジコ、そしてアトリの群れを観察することができ、ふいに現れた美しいオオルリのオスの姿に盛り上がっていると、突然ヤツガシラが飛んで木に止まりました。ようやく現れた離島らしい鳥だったため一気に盛り上がり、しばらくの間じっくり観察することができました。やや警戒心の強い個体で珍しく高い木に止まってしばらくじっとしていました。その後は飛翔するサシバ、フライキャッチしながら捕食行動するコサメビタキなどを見ながら一休み。その後は飛翔する複数のハイタカ、樹上で休んでいるサンショウクイのペアを見ながらお昼ご飯としました。この頃にはすっかり晴れて暑さすら感じるほどになっていましたが、この後は海岸線に沿うように歩きながら本村を目指しました。途中に水田では夏羽のアマサギ、ハクセキレイ、見事な夏羽に換羽したアトリなどを見ながら宿付近まで来ると風が冷たくなり、フリースジャケットが必要なくらいでしたが複数のミサゴが飛び交う姿が見られたほか、カシラダカなどを見ながら宿に戻りました。

28日、この日は宿にて朝食をいただき、その後はここまで行っていないポイントで徒歩探鳥を行いました。到着時にはノゴマ、マミジロタヒバリが見られ、その後は遠くから聞こえてくるツツドリの声を聞きながら歩きました。天気が良かったせいか途中、複数のハイタカ、ツミが円を描くように飛翔し、キビタキのオスとセンダイムシクイが楽しませてくれました。また小さな池にはどこに向かうのかホシハジロの姿がありました。岬の近くまでくると道端で餌を探すミヤマホオジロのメスに出会うことができ、岬ではツグミ、アオジ、そして渡って行くヒヨドリの群れが見られました。そして一休みした後は来た道を戻るように歩き、小さな池では複数のコサメビタキがフライキャッチする姿を見が見られました。

さて鳥の観察会としては初のツアーとなった山口県見島。私ははじめて訪れたのですが離島としては珍しく各所に水田があり、水が豊かな島であると同時に各ポイントに変化があるため今後さらに楽しめる気がしました。今回は残念ながら春の渡りらしい鳥はヤツガシラとタイワンハクセキレイ、ノゴマ、マミジロタヒバリくらいでしたが、離島は継続して観察しないとその魅力がわかりません。今後は歩く距離を縮められるようコース設定を作り直す工夫などをしつつ、継続的にこの島に長らく通っていらっしゃるガイドさんに引き続きこの島でのツアー企画をお願いしたいと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

カンムリウミスズメ 撮影:鶴田学様

 

タイワンハクセキレイ 撮影:鶴田学様

 

オオミズナギドリ 撮影:鶴田学様

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