【ツアー報告】空の王者 イヌワシに会いたい! 2018年8月4日~5日

(写真:イヌワシ 撮影:坂東俊輝様)

災害レベル、危険レベルの暑さという過去に聞いたことがない言葉で表現されている今年の夏は、最高気温が35℃を超える日が珍しくなく、出発日も中部関西方面を中心に40℃近い最高気温予想がでていました。それでなくても盛夏の頃は国内でのバードウォッチングツアーは一休みですが、天候が安定するこの時期に合わせて企画しているのがこのイヌワシを狙ったツアーです。暑い日は歩き回ることは困難で、やはり下界よりはやや涼しい場所に行きたいものです。今回は幸い台風の発生もなく、土曜日、日曜日共に晴天が続くという天気予報の中で出発できることになりました。

4日、朝から暑さが厳しい東京駅は夏休みということもあってか混雑していました。ただこれといったトラブルがないまま新幹線は順調に進んで到着しました。新幹線車内は快適でしたがホームに降り立つとムッとするような暑さでギラギラした太陽の元、日帰りでご参加のお客様と共に専用バスに乗り込んでひとまず現地に向かいました。バス車内ではイヌワシについて基本的な解説をさせていただき30分ほどで到着した入り口ゲートでは山頂付近は視界良好、気温24℃との表示がありました。くねくねとした道をバスはグイグイ登り、次第に眼下に広がる町並みが遠くなっていきました。山頂駐車場までやってくるとやや霧が発生していましたがこれといった問題はなく、ひとまずトイレに行っていただいてから観察機材の準備に取り掛かると共に各自昼食をとっていただきました。この日の観察はほぼ午後のみのため少々気持ちが焦り気味ではありましたが、とにかくイヌワシがやってきてくれるのを待つしかありません。周辺ではさかんに歌うホオジロの姿があり、森の奥からはクロツグミ、ウグイス、モズの声がしていました。するとようやく13:50に眼下の左側の尾根からイヌワシが直線的に飛翔して右側の尾根裏に消えました。僅かな時間でしたがどっしりとした印象のある姿と翼先を持ち上げたイヌワシ独特のスタイルを見ることができました。その後は同一個体と思われるイヌワシが14:30に右側の尾根裏から登場して眼下の岩に止まりました。やや距離があったことから望遠鏡を使って観察しましたが、この時間は太陽光が強く暑かったせいかイヌワシは口を開けていました。しばらく止まっていたイヌワシは15:00に尾根裏に飛び去ってしまったことから姿が見えなくなってしまい、この日は16:45まで観察しましたがその後イヌワシが登場することはありませんでした。春先から2羽で見られているとのことでしたので楽しみにしていましたが、この日はどうやら単独行動のようでした。

5日、この日も早朝から見事な快晴でイヌワシ観察に関しては条件的な問題はなさそうでした。各自朝食を済ませていただいた後は、この日も日帰りでご参加のお客様と合流してから専用バスにて現地に向いました。昨日よりも時間が早いこともあってか山頂付近の気温は21℃と表示されていました。この日も同様に山頂駐車場を目差しましたが、周辺の風景を見る限りでは昨日よりも天気が良く、視界も全く問題はありませんでした。この日も同様にトイレ休憩後に観察機材準備をしていただいてから観察に入りましたが空は見る見るうちに青くあり、昨日を上回る晴天が予想されました。前日のイヌワシの動きが今ひとつだったことからやや心配ではありましたが、やはり午前中は全く動きはありませんでした。ただ、大型猛禽類との出会いにまえぶれなどありません。眼下の尾根沿いを眺めていると尾根裏に動く何かがチラッと見えました。そのため皆さんにとりあえずお伝えすると、その数秒後にようやくイヌワシが登場しました。ただ驚いたことになんと捕えた小動物をぶら下げていて、やや時間差をつけてもう1羽も飛翔しようやく2羽見ることができました。2羽はやや距離を置いて旋回しながら尾根を越えてこちら側を飛翔し、一旦岩に止まったものの右側の尾根裏に消えました。ただその後30分ほどの間に右側の尾根と左側の尾根を数回行ったり来たりしていました。そして13:20には右側の尾根筋を上昇気流に乗るように湧き上がったかと思うと、ハヤブサと小競り合いをしながら空高く飛翔しながら左側の山へと向かい、獲物を持った個体もそれに続くように飛翔しました。その後、14:00頃には正面の山の前を旋回飛翔し14:30には2羽が我々の頭の上を通過するように飛翔し、うち1羽は左側の山に消えました。そしてやや向かい風が強まった15:30。左側の山の山頂付近で風をうまく捉えてイヌワシがハンギングを始めました。まるで空中の1点に張り付いたかのように全く動くことなく、そして羽ばたくこともなく行なうハンギングはまさに空の王者の風格が漂っていました。すると突然羽をややたたんだようなスタイルで飛翔して我々の後方の森に消えました。ただハンギングはそのまま続いていたようで巨大なイヌワシが我々の頭上にふわっと現れました。これにはあまりの近さに思わずのけぞるほどで光線も良かったことからじっくりとその姿を堪能することができました。その後は16:00頃を中心にイヌワシのハンギングは続き、各所で空中の1点に留まるように飛翔するイヌワシの姿が見られました。その後は時間的にもそろそろ終了かと思いましたが一応、16:45まで観察を続け、16:50には荷物整理を始めましたがこの日はいったいどうしたことでしょう。なんと再び我々の真上で1羽のイヌワシがまるで凧のようにハンギングをはじめ、見ているとさらに近い距離からもう1羽が姿を現して2羽で仲良く対岸の岩に止まったのでした。そのため慌てて望遠鏡をセットしなおして観察を続行しました。やや逆光になる時間ではありましたがイヌワシの輪郭が輝いて美しく見えました。その後、10分ほどで2羽は飛び立って行きましたが、長い観察経験を踏まえても過去に経験したことがないような出会いを経験することができ、また捕えた小動物をぶら下げて飛翔するシーンを見るという貴重な経験もできました。

昨年はイヌワシの姿を全く見ることができず残念な思いをしましたが、やはり大型猛禽類との出会いは難しいけれど出会った時の感動は限りなく大きいと感じました。通常、大型猛禽類と出会うには最低3日間、できれば5日間くらいの時間が欲しいのですが、ツアーという形態を考慮するとやはり週末利用の2日間というのが理想でしょう。ただ、これだけ短時間であってもとりあえずイヌワシの姿が見られるというのは正直驚きです。今回も条件はさまざまでしたが2日間共にイヌワシに出会うことができ、また久しぶりに2羽で行動する様子も観察できました。来年は繁殖がうまくいき三つ星と称される若鷲が飛翔する姿を見られればと思いました。思った以上に暑い2日間でした。ご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

イヌワシ 撮影:日下部英昭様

 

イヌワシ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:柳由紀子様

 

イヌワシ 撮影:日下部英昭様

 

ハヤブサ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:柳由紀子様

 

イヌワシ 撮影:日下部英昭様

 

イヌワシ 撮影:坂東俊輝様

 

イヌワシ 撮影:柳由紀子様

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