【ツアー報告】鵡川・大沼・遊楽部 冬の道南めぐり 2025年1月21日~23日

(写真:コクガン 撮影:鶴田美津子様)

冬の北海道といえばバードウォッチャーならば一度は訪れたい憧れの探鳥地でしょう。特に道東エリアは人気が高いですが、道東エリアはどちらかというとオオワシ、オジロワシ、タンチョウ、シマフクロウといった大型の鳥種が中心です。一方、この道南は冬の小鳥類、猛禽類、カモ類、カモメ類と冬の北海道としては比較的さまざまな種が観察できることが最大の特長で、オオワシやオジロワシ、そしてほかのツアーでは出会えないコクガンの群れが毎回見られています。ただ道東に比べて道南は冬に訪れる探鳥地の中でもとにかく天候が安定せず、積雪量が多い探鳥地で、毎回運行がスムーズに行くかどうか心配になるほどです。またこの冬は冬鳥の渡来状況が極めて悪いため、小鳥類中心の探鳥であるこのツアーは心配が尽きません。今回は事前の天気予報は概ね曇りベースになるとのことで、気温もかなり高めの予報が出ていました。

21日、この日の東京都内はどんよりとした空模様でしたが、羽田空港に到着したころには、次第に空には青空が増えてきていました。予定通り羽田空港にご集合いただいた後は、資料や航空券の配布、そしてこの日の予定をお伝えしてからひとまず千歳空港に向いました。到着後は空港内にて観察機材の準備をしてから苫小牧市内に向けて出発しました。この日の千歳は前回よりもさらに積雪が少なく、想像以上に暖かい印象でした。バスを降りて周囲を見てみるとこれといった小鳥類の動きはなかったですが、少々歩くと地上に降りて餌を探している、シジュウカラ、ヤマガラが見られ、しばらく見ているとヒガラもやってきました。林に入るとようやくツグミ、シメの姿があり、一時的に群れが飛びたったかと思うと、どこからともなくやってきたハイタカが飛び回っていて、最後は我々の頭上を旋回飛翔してくれました。ただその後は再び小鳥たちが林に戻ってきてはナナカマドの実をついばんでいました。その後、向ったウトナイ湖はほぼ全面凍結状態だったことから、湖面にはわずかにオオハクチョウの姿があったのみでしたが、湖上を飛翔するオオワシとオジロワシが見られました。林に入るとツルウメモドキの実に集まっているヒヨドリが賑やかで、これといって警戒する様子もなく、間近にやってきたシロハラゴジュウカラを観察することができました。さらに奥に進むと、ようやくシマエナガの小群に出会うことができ、樹間を移動しながらコミカルに動き回る姿を見ることができました。その後はやや肌寒くなってくる中、鵡川方面に向かいましたが、途中にある公園に立ち寄ってみました。ここでは毎回のようにカササギが見られているので探してみましたが、残念ながらこの日はまったく姿がありませんでした。そのため周辺も探してみましたが見つからなかったため、その後は鵡川に向いました。そして鵡川に向う途中にある場所を探してみると、アンテナに止まっているカササギに出会うことができ、その後も電線に止まっている姿などを見ることができました。その後は道の駅で休憩をとってから、この日最後の探鳥地である鵡川河口に向かいました。漁港内を見るとカモ類の数はかなり少なかったですが、ホオジロガモ、スズガモ、ヒドリガモが見られ、周辺ではオジロワシやオオワシ、カモメ類がさかんに飛び回っていたことから見てみると、どうやら砂浜になにかしらの餌があるようで、テトラポットにずらっと並んで止まっているワシたちが代わる代わる採食していました。またシロカモメ、ワシカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメも一緒に餌を捕っていました。そして美しい日没とともにこの日の探鳥を終えました。

22日、この日は早朝からどんよりとした空模様でしたが気温が高いようで、道路の雪がさらに解けていました。豪華な朝食をいただいた後は遊楽部川に向けて出発しましたが、雪ならまだしもこのツアーとしては珍しく途中からは小雨が落ちてきていました。途中にある静狩パーキングエリアでも小雨は止まず、再度出発後は八雲町にある遊楽部川上流に向かいました。そもそも雪が多い場所ではありますが、この日は先週に比べるとさらに雪が少なく、ほぼ路面が見えているような状況でした。最初の場所では2羽のセグロセキレイが絡まり合うように飛び、川石の上に乗ってじっとしているカワガラスも見られました。またよく見ると間近な水面にもカワガラスの姿があり、潜水しながら餌を探していました。さらにはミソサザイもやってきて雪の上を歩き回ったり、岩に乗ったりしながら動き回っていました。その後はトイレ休憩を挟んでから遊楽部川の河口方面に向かいました。細かい雨が降り続いている中でしたが、川面にはカイツブリ、ホオジロガモ、オオハクチョウの姿がありました。また河口にはかなりの数のカモメ類が群れていて、川沿いの大木には2羽のオオワシの成鳥が止まっていて、オジロワシの亜成鳥が飛んでくるのに合わせるように大きな声で鳴いていました。積雪のある中を河口に向って歩いて行くと、再びオオワシ、オジロワシが見られましたが、河口に群れていたカモメ類は飛び去ってしまい、わずかに残ったシロカモメ、オオセグロカモメ、そしてマガモの群れが見られたのみでした。その後はやや雨足が強まる中、さらに函館方面に南下し、途中にある道の駅で昼食の時間をとり、昼食後は隣接する公園で探鳥をしました。この頃からはさらに雨足が強まってしまい、なかなか難しい探鳥でしたが、林に入るとナナカマドにはツグミ、ヒヨドリがやってきていて、小雨の中ではありましたが賑やかにナナカマドの実をついばんでいました。その後はホテルがある大沼に向って進み、途中にある漁港へ行ってみました。この日は堤防上にずらっと並んで止まっているカモメ類が目立ち、ほとんどがオオセグロカモメでしたが、その中には背の灰色が薄いワシカモメ、さらに淡いシロカモメが混じっていました。また貝殻が積んである場所では、オオセグロカモメに混じるワシカモメの成鳥冬羽、幼鳥も見られ、間近にじっくりと観察することができました。その後は休憩をとってから漁港に立ち寄ると、カモ類は少なかったものの、ホオジロガモ、スズガモが見られ、たった1羽ながらミミカイツブリに出会うことができました。この頃にはようやく雨が上がって一部に青空が見え始め、みるみる薄暗くなってくる中、大沼のホテルに向いました。

23日、この日は早朝からほぼ快晴で、もう雨の心配はないように感じました。朝食後にホテルを出発すると、気温が高いせいか大沼の湖面には霧が立ち込めていました。この日はまず海岸に向い、コクガンを探しながら海岸線を走ってみました。するとこの日は幸いにも狙っていた場所に12羽で群れているコクガンの姿があったことから、バスを降りて少々接近して観察してみました。うまく波に乗りながら海上を漂うように移動しては海藻を食べているようで、幼鳥と思われる個体も1羽ながら混じっていました。また付近にはホオジロガモ、シノリガモの姿もありました。その後は道の駅に立ち寄って海上を見てみました。今年はカモ類も極めて少なく、この日も数羽のホオジロガモ、マガモが見られたのみで、テトラポットにはウミウ、オオセグロカモメが止まっていました。観察後は公園まで戻って冬鳥を探してみることにしました。駐車場脇の小さな池にはカルガモ、マガモの姿があり、ヤマガラが何度も何度も飛んできては地上付近で餌を探していました。林に入るとある程度積雪があったものの、ところどころで足を止めて観察してみました。樹液が出ている木にはシマエナガ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラがやってきていて、付近ではシメが木の実をついばんでいました。またアカゲラのメスがやってきて木の実をつついていました。さらには暖かかったせいかヒガラのさえずりを聞くこともでき、戻る途中では再び数羽で行動しているシマエナガに出会うことができましたが、ヤマゲラの気配がなかったことから場所を変えてみました。ただなかなか小鳥の気配がなかったことから再度、最初に行った場所に行ってみました。ここでは間近にハシブトガラが見られ、地上付近ではミソサザイが餌を探していました。すると遠くからヤマゲラの声が聞こえたことから探してみると、今度はやや近い位置から声が聞こえました。そのためさらに近づいて探してみると、林の中からは独特の声が何度も聞こえてきていました。そのため時間をオーバーして待ってみましたが、残念ながらその姿を見ることはできませんでした。

毎回毎回、天候や積雪の状況が気になるエリアでの探鳥ですが、今回は気温の高さから先週に比べてさらに積雪が少なく、この時期としてはかなり珍しく2日目には雨の中での探鳥になってしまいました。また最終日は一転して快晴無風の状況になったことから、ダウンジャケットも不要なほどの温かさになりました。ただこの冬は全国的に冬鳥の渡来状況が極めて悪く、昨年見られたベニヒワ、イスカ、キレンジャク、ウソといった冬鳥は全く気配無く残念でした。ただナナカマドにはツグミの群れやシメがやってきていて、苫小牧ではなんとかカササギが見られました。またこのツアーの隠れた主役であるコクガンの群れは良い条件で見ることができ、漁港ではミミカイツブリに出会うこともできました。また留鳥のシマエナガ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラが見られ、各漁港ではワシカモメ、シロカモメの美しい個体も見られました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

シマエナガ 撮影:鶴田美津子様

 

オオワシ 撮影:小林圭一郎様

 

カササギ 撮影:鶴田美津子様

 

ハイタカ 撮影:小林圭一郎様

 

アカゲラ 撮影:鶴田美津子様

 

ツグミ 撮影:小林圭一郎様

 

ミミカイツブリ 撮影:鶴田美津子様

 

シマエナガ 撮影:小林圭一郎様

 

ホオジロガモ 撮影:鶴田美津子様

関連記事

ページ上部へ戻る