【ツアー報告】ベストシーズンに行く三宅島 2019年5月24日~26日

(写真:タネコマドリ 撮影:久野守正様)

都内から僅かな時間で訪れることができる三宅島。ただここにはとても魅力的な野鳥たちが生息しています。今回は三宅島の野鳥たちを観察するのに最も良い時期を選んでツアーを企画しました。前回は直前に天候不良があり、海況を含めて不安がありましたが、今回は天気予報には全く問題はなく、むしろ全く逆になり、週末は真夏のような暑さになるとの予報が出ていました。

24日、やや蒸し暑い中、週末ということもあり集合場所の竹芝桟橋はいつものような賑わいを見せていました。ただ、集合時間には全員のご集合が完了したため、資料の配布、翌日の連絡などを済ませてから乗船を開始し、定期船橘丸は三宅島に向けて出港しました。

25日、これといった海況不良がないまま船は順調に進み、予定よりもやや早い04:50に三宅島錆が浜港に着岸しました。タラップを降りるとすっきりとした青空が広がり、早速専用バスにて探鳥に向かいました。到着後は各自観察機材準備、そして朝食をとっていただいてから探鳥を開始しました。この日は幸にも無風で、そのためかさえずっているウチヤマセンニュウの数が多いように感じました。澄み切った青空をアマツバメがスイスイと飛ぶ中、周囲ではウチヤマセンニュウがさえずり、それぞれ好きな個体を観察、撮影していただきました。またこの日はカラスバトの個体数もかなり多く、しかも高い場所に止まっている個体が多かったことから望遠鏡を使って観察したほか、いきなり飛び立つ数羽のカラスバトの群れを見る機会もありました。結局1時間半ほど滞在してから移動しました。早朝は薄暗い場所の地面にアカコッコがいることが多いのですが、この日は狙い通りアカコッコが地面を歩きながら餌を探し、イイジマムシクイやタネコマドリ、モスケミソサザイのさえずりに包まれ、この日は特にカラスバトの声が不気味に響いていました。その後は大きな荷物を一旦宿に置いてから、担当してくださるドライバーさんの名調子の案内を聞きながら恒例の島内一周を行いました。この日は時計と反対回りで巡り、学校、空港、そして噴火でできた三七山を見学し、噴火口がそのまま残るひょうたん山ではバスを降りて火口を見学してついでにアオウミガメを観察。その後は溶岩に埋まってしまった椎取神社、阿古小学校跡、最後はめがね岩を見て宿に戻りました。この日は天気はかなり良かったのですがかすんでいるようで視界が悪く、御蔵島を含む景観を楽しむことはできませんでした。その後は一旦宿に戻ってから昼食の時間とし、その後は徒歩探鳥に出かけました。この頃からは汗ばむような陽気になってきたため、まずは水場に向かい、ここでは幸いにもいきなり2羽のタネコマドリが水浴びをしにきてくれ、その後もイイジマムシクイやヒヨドリ、そしてこの時間帯はシチトウメジロが数多く見られました。その後は移動しましたが、途中の小道ではアカコッコのメスが地上採食し、さらに進むと愛想の良いイイジマムシクイが枝先で歌ってくれました。またどこからともなくオオルリのさえずりが聞えたことから見てみると電線でさえずっていました。渡り途中と思われますが、あまりにも時期遅れのため驚かされました。大路池ではウミウ、ゴイサギ、ダイサギの姿があり、戻る途中では枯れ木に止まる3羽のカラスバトをじっくり観察することができました。そしてこの日は汗をかいたことから17:30には宿に戻って、後は庭先にやってくるオーストンヤマガラを見て過ごしました。夜はアオバズクの声が響く中、星を見に出かけられたお客様もいらっしゃったようでした。

26日、いかにも暑くなってきそうな快晴の中、この日は早朝徒歩探鳥を行いました。まずは付近の小道に行きましたが日曜日のせいか、人の気配が多かったことから別の小道に移動しました。ただ、この日はどうにも野鳥たちの動きが悪く、1時間ほどしてようやくアカコッコが姿を見せ、続いて狙いのタネコマドリも姿を見せましたがほぼ一瞬のことで、じっくりと観察することはできませんでした。そのためその後は最初に行った小道に移動することにしました。到着すると狙っていたタネコマドリが朗々とさえずっていたことから待機することにしました。するとようやく視界に捉えられる場所に出てきてさえずってくれたことから望遠鏡で観察することができ、また意外なことにさらに視界の良い場所で歌いはじめたことからさらに良い状況で観察することができました。その後も道に出てきて歩きながら餌を探したり、歩きながらさえずったりとさまざまなシーンを見せてくれ、少々遅れましたがその後は一旦朝食に戻り、ここから昼食までの時間は撮影されたいお客様もいらっしゃることから自由行動可として3時間ほどの探鳥を行いました。まずはここまでモスケミソサザイが見られていないことから、良く見られているポイントで待つことにしました。待っていると目線ほどの高さで餌を探すイイジマムシクイが見られ、その後は2羽のミヤケコゲラがやってきて追いかけっこをするような行動をしばらくの間、楽しませてくれました。その後は再び水場で観察し、間近に現れたアカコッコ、そして数多くやってきたシチトウメジロを観察してから昼食とした後は錆が浜港に向かいました。少々遅れましたが橘丸は三宅島を出港し、ここから東京湾に入るまでの約3時間ほどはデッキから海鳥観察を行いました。すでにシーズンは過ぎていますが、ほぼ途切れることなくオオミズナギドリが飛ぶ中、アナドリ、ハシボソミズナギドリ、クロアシアホウドリが見られました。

長年、三宅島にはきていますが、毎年毎年野鳥の数には傾向があるようで、今年の三宅島はアカコッコの個体数がやや少ない印象がありました。ただウチヤマセンニュウが良いソングポストで歌ってくれたことから見ごたえがあり、また普段なかなか見づらいタネコマドリは、たまたま良い個体がいたことから良い条件で何度も何度も見ることができ幸いでした。そして三宅島に来ることが初めてというお客様が多くいらっしゃったことから、三宅島の噴火の歴史をたどる「島内一周」も楽しんでいただけたようで有意義でした。ぜひまたの機会、三宅島にお出かけください。真夏のような日差しの中での探鳥お疲れ様でした。

石田光史

カラスバト 撮影:赤松博行様

 

アカコッコ 撮影:久野守正様

 

ミヤケコゲラ 撮影:赤松博行様

 

ウチヤマセンニュウ 撮影:久野守正様

 

イイジマムシクイ 撮影:久野守正様

 

シチトウメジロ 撮影:久野守正様

 

アカコッコ 撮影:久野守正様

 

アマツバメ 撮影:久野守正様

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