【ツアー報告】フォトツアー日本最大のガンの越冬地 伊豆沼と蕪栗沼 2019年11月9日~10日

(写真:カリガネ 撮影:大木邦夫様)

晩秋のバードウォッチングに絶対外せないのが伊豆沼周辺のガンたちでしょう。毎年、数万羽ともいわれるガンたちが越冬のためにやってきます。圧倒的多数を占めるマガンをはじめ、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネといった5種類のガンたちを見ることができ、カリガネ、シジュウカラガンに関しては年々増えている印象があります。今回は通常のツアーとは異なり、小型車を利用しての撮影ツアーで参加人数を6名様としました。これによりコンパクトな動きでガンたちを探すことができるほか、歩く距離も軽減でき、また少人数のためガンたちへの接近も容易にできます。

9日、早朝の東京駅周辺は快晴で、予定通り新幹線でくりこま高原駅を目指しました。ただ現地の天気予報が芳しくなく、そのためか途中からはやや雲が多い状況になってきました。現地到着時は厳しい寒さはなく、思ったよりも穏やかな中、まずは一旦ホテルに向かい、ロビーにて観察機材準備を行っていただき、探鳥に使わない物をホテルに預けてから出発としました。このツアーではガン類5種の撮影を目的にしていることから、まずはなかなか難しいカリガネの姿を求めて移動しました。広大な畑地を車で流しながら点々といるマガンの群れを一つ一つ丁寧に見て行くと、ようやく親子と思われる4羽のカリガネの群れを見つけましたが残念ながら飛び立ってしまいました。ただ付近にはさらに大きなマガンの群れがいたことから車を降りて探してみることにしました。その間にも群れに合流するためにマガンたちが次々に飛んできてくれ、マガンの飛翔形を存分に撮影することができました。その後もひたすらマガンの群れを見て行くと、ハクガン幼鳥に出会ったほか、ようやくよい距離感のマガン、カリガネ、シジュウカラガンの群れに出会うことができ、車を降りて撮影することにしました。よく見ると思いのほかシジュウカラガンが多く混じり、お目当てのカリガネも10羽程度含まれていました。そのため少しずつ近づきながら撮影し、ちょうど順光だったこともあり美しい光の中で撮影することができました。その後は夕方の塒入り撮影に備えて準備をしていただきポイントに向かいました。車が小さいことからポイントのすぐ下まで行くことができ、堤防を上がると目の前に湖面が見えました。この日は残念ながら雲が厚く、見事な夕陽の中とはいきませんでしたが、日没の16:30をやや過ぎた頃まで続々と塒に戻ってくるガンたちを撮影してホテルに戻りました。

10日、この日は早朝の塒立ちを撮影するため05:30にホテルを出発しました。当然、天気が重要なのですが、この日は天気予報も晴れとのことですでに東の空は明るくなってきていました。この日の日の出は06:10のためまだまだ薄暗い中、撮影準備を進めていましたが日の出直前になって霧が出始めてしまい、日の出の頃には周囲は深い濃霧に包まれてしまいました。ただ、ガンたちの飛び立ちは始まり、この日は比較的近い位置に群れがいたことから、塒立ち自体はかなり良い形で見ることができました。07:00には現地を出発して一旦ホテルに戻った後は朝食をいただいてから再度出発して、この日はまずシジュウカラガンの群れを探すことにしました。現地では広大な畑地をめぐりましたが、この日はマガンの群れは点在していましたが残念ながらシジュウカラガンの大きな群れは見られず、そのためトイレ休憩をとった後は別の場所に向かいました。ここでもマガンの群れが点在していたため、地上にいるマガンの群れを撮影し、その後はヒシクイを撮影しました。ヨシ原ではチュウヒが舞い、ベニマシコの声が聞えていました。沼にはヒシクイの亜種オオヒシクイが群れ、その姿を間近に撮影することができ、ほかにもツルシギ、ハマシギ、オオハクチョウの姿もありました。この日はマガンの群れに落ち着きがなく、ふいに飛び立たったマガンの群れが着水したことからマガンの群れも撮影することができました。その後は一旦昼食の時間とし、午後はこの秋に見られているアオガンを探すことにしました。まず最初に観察したマガンの群れの中には1羽のハクガン幼鳥の姿があり、その後に観察したいくつかのマガンの群れの中にも2個体のハクガン幼鳥の姿がありました。時折一斉に飛び立つマガンの群れは圧巻でしたが、残念ながらアオガンの姿はなく、地元の方のお話ではどうやら数日前から見られていないとのことでした。その後はこの日も塒入りの撮影を行いました。この日は西の空に雲は少なく、時間が経つにつれて空が見る見るうちに真っ赤に染まってきました。夕陽を背景に続々とマガンたちが帰ってきては、見事な落雁を披露してくれ、シジュウカラガンの群れも帰ってきていました。またこの日は月も見事に出てくれたため、月を背景に飛翔するマガンの群れも撮影することができ、しばらくの間、息を飲むようなシーンの連続に歓声が上がりました。結局この日は日の入りの16:30を過ぎて17:00頃まで撮影してツアーを締めくくりました。

今回は2日目の早朝に濃霧のため一時視界不良になる不運がありましたが、2日間を通してそれほど寒くもなく、まずまずの天候の中で撮影を楽しむことができました。ハクガンはやや距離があったものの数個体に出会うことができ、カリガネ、ヒシクイ、シジュウカラガンは良い光線の中でじっくり撮影することができました。またマガンに関しては飛翔形や地上での姿、そして圧倒されるような群れの撮影を堪能することもでき存分に楽しむことができました。今後も撮影ツアーは通常のツアーとは異なった設定で企画し、コンパクトに行動して隅々までガン類を探せるよう小型車を利用し、できる限りガン類に近い距離から撮影できるよう少人数ツアーで企画していく予定です。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

シジュウカラガン 撮影:大木邦夫様

 

カリガネ 撮影:大木邦夫様

 

ヒシクイ 撮影:大木邦夫様

 

シジュウカラガン 撮影:大木邦夫様

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