【ツアー報告】日本最大のガンの越冬地 伊豆沼と蕪栗沼・化女沼(追加設定) 2019年11月14日

(写真:カリガネ 撮影:宅間保隆様)

爆発するかのような豪快な早朝の飛び立ち、そして夕景に延々と続く圧倒されるような夕方の塒入りという大きなイベントをはじめ、なかなか一か所で全ての種を観察できない、マガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネといった5種類のガンたちを見ることを主な目的にしたツアー。日本の秋の風景を楽しむといった意味では絶対に外せない探鳥地といえるでしょう。私は毎年何度も何度も訪れていますが、全く飽きることがない大好きな探鳥地です。5種のガン類ではハクガンのみが定期越冬していると言い難いですが、幸いにも今季も10羽程度が飛来しているようです。今回は探鳥地のほとんどが狭い道のため、マイクロバスを使用し15名様限定としました。これにより歩く距離も軽減され、隅々まで探鳥可能で車内からの観察といった手法も可能になりました。

14日、快晴の東京駅を予定通り出発して新幹線でくりこま高原駅を目指しました。ただ現地の天気予報が芳しくなく、そのためか途中からは曇り空になり古川駅付近では激しい雨が降っていました。ただ到着したくりこま高原駅では雨はなく、一旦バスにてホテルに向かい、ロビーにて観察機材準備を行っていただいてから探鳥に出発しました。外はやや風がありましたが青空が見える状況で安心しました。まずは伊豆沼に向かい、基本となるマガンの観察を行いました。成鳥、幼鳥の特徴を抑えていただき、その後は別の場所に移動しました。ここではマガンの群れの中に1羽のハクガンの幼鳥の姿があり、灰色がかった独特の姿を観察することができました。その後は移動して一旦、トイレ休憩をとり、その後は周辺の畑地をめぐりながらカリガネを探しました。車内からその姿を探しながら進むと15羽ほどの群れで地上採食している群れが見られましたが警戒心が強いようでじっくりと観察することができず、別の個体を探すことにしました。すると最後の最後で地上採食している30羽ほどのカリガネの群れに出会うことができ、それほど警戒していないことから少しずつ歩いて近づいて観察することができました。比較的幼鳥の姿も多く、いくつかの家族群のようでした。その後は見る見る暮れていく夕景を見ながら堤防に向かい、塒入りの観察を行いました。車が小さいことからポイントのすぐ下まで行くことができ、到着するとコチョウゲンボウの姿があり、空は残念ながら曇りながらも続々とマガンたちが帰ってきていました。この日はやや風があったことから飛んでくるマガンたちが低く飛び、なかなかの迫力でした。湖面を見ると数千羽のシジュウカラガンの群れも見られ、圧倒されるような光景を日没の16:30をやや過ぎた頃まで観察してホテルに戻りました。

15日、この日は早朝の塒立ちを観察するため05:30にホテルを出発しました。お天気が気になるところですが、この日は幸い晴れ予報で東の空は明るくなってきていました。日の出は06:15のためまだまだ薄暗い中、準備をしていると沼の奥側にいたガンたちが一旦飛んで堤防に近いところまでやってきてくれました。ただこの日は見事な朝日が出たにも関わらずガンたちはなかなか飛び立たず、結局は一斉にとは行かずバラバラな飛び立ちでした。ただ朝焼けは見事で、飛び立って行くガンたちとのコラボレーションを楽しむことができました。06:50には現地を出発して一旦ホテルに戻った後は朝食をいただき、再度出発して、この日はまず化女沼に向かいました。穏やかな陽気の中、カケスが頻繁に飛び交い、林ではエナガ、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラが出迎えてくれました。特にエナガは愛想が良く間近に餌を探す様子を観察することができました。ダム湖を眺めるとカモ類の数は少ないながらも、ホシハジロ、キンクロハジロ、ハシビロガモ、カルガモなどの姿があり3羽のミコアイサの姿もありました。その後はシジュウカラガンの群れを探すことにしました。現地では広大な畑地をめぐりましたが、この日はマガンの群れは点在していましたがなかなかシジュウカラガンの大きな群れには出会えず、まずはマガンの群れに混じる数羽のシジュウカラガンをバス車内から観察しました。ただその後に出会った群れは数百羽のシジュウカラガンの群れでバスを降りてじっくり観察することができました。観察していると100羽ほどのシジュウカラガンがどこからともなく飛んできて我々の上空を通過するなど、しばらくの間、楽しませてくれました。その後は一旦、昼食の時間とし、午後からは昨日見ることができなかったハクガン成鳥を探すことにしました。畑地には相変わらずマガンの大きな群れが点在し、ひとまずそれらの群れをチェックしました。幸いにも成鳥を含む5羽のハクガンの姿を見ることができ、ついでにアオガンの姿も探してみましたが残念ながら姿はなく、ただ途中の畑地では地上に佇むコチョウゲンボウに出会うことができました。そしてこの日も最後はやや雲がありましたが塒入りを観察しました。前日に比べて寒さが厳しく、どんよりとした中でしたが、この日もガンたちは続々と塒に戻り、シジュウカラガンの群れも帰ってきて最後は渦を巻くような大群の飛翔を見ながら探鳥を終了しました。天気予報が芳しくない中でのスタートでしたが、結局雨に打たれるようなことはなく幸いでした。

今回は各社天気予報がバラバラで予報が難しい中での出発でしたが、結局雨に打たれるようなことがない2日間でした。夕方の塒入りは両日共に天気が今一つで残念でしたが、圧倒されるような塒入りの光景を眺めることができました。ガン類も初日にマガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネの5種に出会うことができ、比較的良い条件の中で観察することができ幸いでした。今後も探鳥地の状況を考慮し、小型車を使って隅々まで探鳥可能なよう企画してまいります。我々バードウォッチャーにとっては、晩秋の日本を代表する光景であるとい思いますのでまたの機会、ぜひ足をお運びください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

マガン 撮影:宅間保隆様

 

塒立ち 撮影:宅間保隆様

 

シジュウカラガン 撮影:宅間保隆様

 

マガンの群れ 撮影:宅間保隆様

 

塒入り 撮影:宅間保隆様

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