【ツアー報告】深山に棲むクマタカに会いたい! 2016年3月2日

(写真:クマタカ 撮影:浜口達男様)

「森の忍者」と称される森林性の大型猛禽類、クマタカとの出会いに期待する早春恒例の日帰りバスツアー。日帰りバスツアーとしては大変珍しく、ほぼ1日中、定点観察でクマタカの登場を待ちます。ただ、猛禽類の飛翔を見るにはとにかく天候が重要です。雨天などの場合は状況に応じて周辺探鳥地で冬の小鳥類を探すスケジュールに変更も考慮しつつの企画でしたが、今回も天気の巡り合わせが良く天気予報はズバリ晴れ。これ以上ないといった条件の中、バスを出発させることができました。

この日は天候がかなり良く、ピークが昼前後に来ると予想して途中の休憩を2度とって時間調整しながら現地に向かいました。到着後は各自観察機材の準備をしてから観察を開始しました。まずは周囲にある止り木を一カ所一カ所見てみましたがクマタカの姿はなし。ちょっと残念に思いましたが、到着後10分ほどでいきなり順光側の稜線に1羽のクマタカが現れて見事な飛翔を見せてくれました。その後はわずか30分ほどの間にクマタカは3度登場してくれました。ただ、いずれも距離があり、とりあえず翼の幅や翼を反らせたような独特の飛翔形を確認するに留まりました。観察開始後2時間が経過したことから一旦トイレ休憩を取り、再び現地に戻りました。この頃にはダム湖湖面にマガモの姿があり50羽ほどのアトリの群れが飛び回っていました。やや風が出てきたことから2羽のハヤブサが飛び、トビの姿も見られました。ただ、残念なことにその後はクマタカの姿はなく、いよいよ終了まで30分ほどといったところまで時間が進みました。もうダメかと思った14:00。逆光側ではありましたが1羽のクマタカが旋回飛翔をはじめ、観察していると一気に速度を上げて直線的に飛翔して稜線の枯れ木に止りました。逆光ではありましたが輪郭が光ってなかなか良い見え方でした。ただ距離があるため望遠鏡を使って観察していただきました。観察していると逆側の稜線からもう1羽が出現し、羽をつぼめて急上昇と急降下を繰り返すディプレイフライトを見せてくれました。すると枯れ木に止っていた個体が飛び立ち、我々の真上を飛翔してくれ、その特徴的な幅の広い翼と鮮やかな模様をしっかりと見せてくれました。大型猛禽類をわずか数時間の観察で見てしまおうというのは無謀かもしれませんが、定点観察のおもしろさというか醍醐味を味わっていただけたようで幸いでした。その後はわずかな時間ながら近くの公園を歩き、池ではマガモ、コガモ、オカヨシガモ、林内ではエナガ、シジュウカラ、カワラヒワ、カシラダカ、アオジ、そしてここでも数羽のアトリの姿を楽しんで探鳥を終了しました。

天気に大きく左右される猛禽類観察ですが、この日はこれ以上ないであろうという状況に恵まれたこともあり、ややジリジリしたもののクマタカの見事な飛翔、そしてディスプレイフライトを観察することができました。青空を背景に飛翔する猛禽類の姿は美しいなとあらためて感じることができた1日でした。皆様お疲れ様でした。

石田光史

関連記事

ページ上部へ戻る