【ツアー報告】珍鳥が渡る!春の与那国島 2022年3月25日~29日

(写真:ロクショウヒタキ 撮影:中澤均様)

いよいよ春の渡りシーズンを迎え、早くも南西諸島では渡り鳥の姿を見る機会が増えてきました。それに合わせるように毎春恒例になっているのがこの与那国島へのツアーです。春の与那国島の特長といえば大きなハズレがないことでしょう。毎回なにかしらの珍鳥に出会うことができ、言うまでもなく想定外の出会いにも期待できます。今回からは与那国島での探鳥の時間を確保するために25日は那覇泊として26日の午前中から与那国島で探鳥が可能なよう日程を組みました。毎度毎度のことではありますが、この時期はカラッと晴れることはなく、今回も日程のほとんどに雨マークがつく中での出発となりました。

25日、小雨模様の午後、羽田空港を予定通りに出発して那覇空港に向かいました。到着後はやや混雑する市内を通ってホテルに向かい、小雨が降る中、チェックインして翌日に備えました。

26日、早朝に那覇空港に向かい那覇空港を07:10に出発、与那国島には08:35に到着することからほぼ一日を探鳥に使うことができます。空港到着後は曇り空の中で観察機材を各自ご準備いただき、まずは与那国島の最大の探鳥ポイントに向かいました。水田の面積が減ってしまっているのは残念でしたが、タカブシギの群れが見られ、インドハッカの群れが飛んでいたことから移動してみました。すると電線や電柱に群れているインドハッカを間近に見ることができ、ヒヨドリ、シロガシラ、メジロ、アカモズ、キジバトといった常連の鳥たちも同時に見ることができました。さらに周辺ではオウチュウの姿があったことから探してみると電線に止まる姿が見られたことからじっくり観察することもできました。その後は一旦戻って集落内を飛び回るムクドリの群れに混じるホシムクドリを観察してから昼食としました。その間にも空港敷地内に群れるツバメチドリが見られ、午後からは東崎に向かいました。相変わらずの強風と小雨の中でしたが東崎では数羽のムネアカタヒバリが見られ、中には美しい橙色の夏羽個体も見られ、数羽のツバメチドリが独特の飛翔形で我々の頭上を飛んでいました。その後はどこからともなく飛んできたヤツガシラが木に止まり、川ではイソシギ、コアオアシシギが見られました。隣接する水田まで行くと数羽のセイタカシギが優雅に歩き回り、アマサギ、ダイサギ、コサギ、チュウサギ、アオサギといったサギ類、カルガモの姿もありました。その後は各所をめぐり、最後は広場でコチドリ、シロチドリを観察してこの日の探鳥を終了しました。

27日、夜中には強風が吹いていましたが朝には風は収まり、相変わらずの曇り空の下、探鳥を開始。昨日は見られなかったカラムクドリが飛び回っていたことから望遠鏡でとらえると、バライロムクドリが混じっていたことから時間をとって観察。しばらく見ていると群れは見る見るうちに増え、中にはギンムクドリも混じっていました。その後は昨日行くことができなった田んぼまで移動すると、ここではセイカタシギ、コチドリ、オジロトウネン、ツルシギが見られ、ツバメが乱舞していました。その後は池でハシビロガモ、オオバン、カイツブリを見てから再びバライロムクドリを観察。お昼までの時間がわずかだったことから日本最西端の石碑がある西崎まで行き、風に乗って飛ぶサシバや海上を飛ぶオオミズナギドリ、カツオドリを見てから昼食の時間としました。昼食後は再び水田まで行くとタカブシギが数を増し、コチドリ、オジロトウネン、さらにはハクセキレイ、ツメナガセキレイが見られ、どこからともなくチョウゲンボウが飛んできました。また水田内を歩くとここでもヤツガシラが見られ、しばらくの間、撮影会状態になりました。その後はやや観光の要素もとりいれる意味で軍艦岩、立神岩とめぐり、その後は再びヤツガシラに再挑戦と思っていましたが、電線になんとロクショウヒタキの姿があり、しばらくの間、フライキャッチを繰り返す様子を観察することができ、写真の結果、どうやら2個体がいたようでした。その後は再びヤツガシラを観察し、付近を飛翔するノスリ、ハイタカを見てこの日の探鳥を終了しました。

28日、この日は早朝から雨。こんな時はバスをうまく利用してバス車内から観察、撮影が楽しめる場所を中心にめぐる方法に変更。まずはこの日もムクドリの群れを観察。止み間を見てバスを降りたりもしましたが突然雨は強まり、なかなか外での観察はできませんでした。それでもバライロムクドリ、カラムクドリ、ムクドリ、ホシムクドリは見られ、その後は水田に移動。ここでも雨が強かったことからバスを横付けして観察。昨日見られたメンバーに新たにアカアシシギ、ツルシギ、ムネアカタヒバリが加わって賑やかさを増し、オウチュウの姿も見られました。また乱舞するツバメに混じるアカハラツバメが見られ、最後はハイタカの出現で鳥たちはどこかに飛び去って行きました。その後は雨が強まる中、東崎に向かい、新たにマミジロタヒバリを観察したほか、ここでもヤツガシラに出会うことができました。昼食後は再びバス車内からバライロムクドリなどのムクドリ類を撮影してから別の場所を走りました。ここではオオチドリに期待していましたが、いきなりムナグロの群れがいたことから1羽1羽見てみましたが全部ムナグロでした。ただ付近からアカガシラサギが飛び立ったため飛翔する姿を見ることができ、ここでもヤツガシラの姿があったようでした。その後はサトウキビ畑に出てきているシロハラクイナをバス車内から観察、撮影し、水田ではコガモ、カルガモ、コアオアシシギ、タシギ、セイタカシギを見てから戻りました。ここでは相変わらずムクドリ類が見られましたが、珍しくアカハラが混じり、このツアー初となるマミジロツメナガセキレイの姿があったことからバス車内から観察、撮影しました。その後、オオチドリ情報があったため急遽、移動。するとやや時間がかかったものの小雨の中、オオチドリに出会うことができこの日の探鳥を終了しました。

29日、この日は与那国島を11:25に出発しなくてはならないことから朝食後は1時間ほどの探鳥。昨日、やや距離があったことから再度、オオチドリを見たいということでポイントに向かました。ただこの日はムナグロが1羽いただけで残念ながらオオチドリとの再会は叶わず、その後は付近の田んぼに移動しました。ここではこのツアー初となる陽射しがあり、ようやく与那国島らしくなってくる中、残るわずかな時間で群れているサギ類やタカブシギ、そして相変わらず優雅に餌を探すセイタカシギ、そして最後は愛想よく間近に止まってくれたセッカの姿を見てツアーを締めくくり、ホテルに戻った後は荷物整理をしてから空港に向かいました。

今年の春の与那国島ツアーは終日天候が芳しくなく、とにかく肌寒い印象でした。これが良い方向に繋がったのかは不明ですが、久しぶりに訪れて久しぶりに大当たりと言ってよい成果に恵まれました。ロクショウヒタキ、バライロムクドリ、オウチュウといった目玉になる珍鳥に出会えたほか、オオチドリ、ヤツガシラ、アカガシラサギ、ツバメチドリ、ムネアカタヒバリ、マミジロタヒバリ、ツメナガセキレイ、ギンムクドリ、カラムクドリ、ホシムクドリ、そしてハクセキレイの亜種たちなど、日替わりで主役が交代するという珍しい現象も体験できました。ツアーは目が多いことが有利であり、それが大当たりに繋がったのだと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。

石田光史

シロハラクイナ 撮影:小林浩様

 

ヤツガシラ 撮影:坂東俊輝様

 

ギンムクドリ 撮影:佐藤幹夫様

 

バライロムクドリ 撮影:中澤均様

 

ムネアカタヒバリ 撮影:小林浩様

 

マミジロタヒバリ 撮影:坂東俊輝様

 

ホオジロハクセキレイ 撮影:佐藤幹夫様

 

オウチュウ 撮影:中澤均様

 

マミジロツメナガセキレイ 撮影:小林浩様

 

ツメナガセキレイ 撮影:坂東俊輝様

 

オオチドリ 撮影:佐藤幹夫様

 

インドハッカ 撮影:中澤均様

 

マミジロタヒバリ 撮影:小林浩様

 

シロガシラ 撮影:坂東俊輝様

 

バライロムクドリ 撮影:佐藤幹夫様

 

ヤツガシラ 撮影:中澤均様

 

オオチドリ 撮影:小林浩様

 

カラムクドリ 撮影:坂東俊輝様

 

マミジロツメナガセキレイ 撮影:佐藤幹夫様

 

ホオジロハクセキレイ 撮影:中澤均様

 

タイワンハクセキレイ 撮影:小林浩様

 

シマアカモズ 撮影:坂東俊輝様

 

シロハラクイナ 撮影:佐藤幹夫様

関連記事

ページ上部へ戻る