【ツアー報告】固有種と渡りの鳥たち 春の奄美大島(追加設定) 2022年4月8日~10日

(写真:オオトラツグミ 撮影:寺田祐治様)

8日、奄美空港に到着すると、晴天の空からの日差しがまぶしく暑さを感じるような陽気のなか、予定通りに皆様ご集合後に出発する。初日は空港近くにある宇宿漁港と大瀬海岸で、渡り途中の鳥たちと干潟の鳥たちの観察を行う予定であったが、最初のポイントでは広い芝生の上に目当ての渡り鳥の姿が皆無であり、何とも物足りないスタートとなってしまった。次いで訪れたポイントで渡り鳥の姿を期待するも、こちらも鳥影が薄い。わずかに数羽のコチドリと、白と黒のクロサギが目につくのみであったが、望遠鏡でじっくりと探していくと、なんとかオジロトウネンの姿も確認することができた。観察できた鳥が少なく時間がまだあったので周辺を歩き、ルリカケスの姿を探すもののこれも空振り。なんとも物足りないスタートとなってしまったが、明日以降に期待を持ってホテルへと向かう。

9日、早朝にホテルを出発し、今回のツアーで初めて行く林道へと向かう。例年であれば奄美自然観察の森に向かうところだが、2年以上続いている改修工事の影響で訪問することができないため、現地ガイドのかたが探してくれた代替地となる場所だ。宿泊したホテルからわずかで到着できる探鳥地であり、探鳥に多くの時間を使えるのはありがたい。まだ暗いうちに到着すると、大きな声のオオトラツグミの囀りが聞こえてきて、次第に数が増していき、遠いところからリュウキュウコノハズクの声も聞こえてくる。空が明け始めてくると同時に、オオトラツグミのさえずりは無くなっていくが、代わりにアカヒゲの囀りが響き始める。林道を歩きながら鳥の姿を探すが、なかなか目的の鳥たちが現れてくれない。道端にオオトラツグミの姿を見つけてもすぐに飛び立ち、森のなかへと消えて行ってしまう。昨日からの物足りなさを払拭できないまま歩を進めると、またしても前方の道端にオオトラツグミを発見する。しかも、この個体は私たちを気にする様子も無く、餌探しに余念がないため、じっくりと観察、撮影することができた。奄美の固有種のなかで姿を見ることがもっとも難しい最難関の鳥にしっかりと出会うことができたので、気分良くホテルに戻って朝食を食べて、再度出発する。今日は大島最西部までの長距離移動だ。到着後はをゆっくりと歩くが、海のマングローブのなかにオオバンが浮いているのみで、他にはリュウキュウツバメ、ヒメアマツバメなどを観察して、次の探鳥地まで急ぐ。ここでも鳥の姿が少なく、期待していたセキレイ類、タヒバリ類の姿が見当たらず、ようやく1羽のハクセキレイを見つけたのみ。そして本日最後の探鳥地を訪問すると、ここもかなり鳥影が薄く感じられ、シジュウカラやサンショウクイなどがぱらぱらと現れる程度であったが、ようやくルリカケスが現れ、皆で観察することができた。その後は周辺の道沿いを歩きいて探鳥するも、川岸から飛び立ったオシドリに驚かされた程度であった。

10日、予報では天気の崩れが怪しまれたが、まだ雨は降り始めていないようだ。昨日と同じく、ホテルを早朝に出発し、再び林道へ向かう。今朝もオオトラツグミはよく囀り、リュウキュウコノハズクのほかにアオバズクのさえずりも聞こえる。オオアカゲラ、アカヒゲの姿を期待して歩くも、本日も残念ながらその姿を現してくれない。しかし、本日は昨日にも増してオオトラツグミがよく姿を現す。全部で5羽ほど見られたであろうか、しかもそのうちの2羽は本当によく観察することができて、皆で満足いくまで、その姿を観察、撮影する。ホテルに戻って朝食、チェックアウトをして出発。この水田地帯では休日ということもあり、地元の人たちが田植え体験を行っていた。その影響か、ここでも鳥の姿はあまり多くなかったが、コガモ、タカブシギ、セイタカシギなど水辺の鳥が現れ、電線にとまるムネアカタヒバリも観察したところで、タイムアップとなり、昼食のため移動して、奄美特産の鶏飯をいただく。食後、初日に訪れたポイントを訪れると、一昨日は何もいなかった草地にハクセキレイの10羽ほどの群れがあり、よくみるとタイワンハクセキレイの姿もあった。また道を挟んだ草地には、夏羽が美しいムネアカタヒバリ4羽の姿もあった。ツアーの最後になって、今回は数少なかったセキレイ類、タヒバリ類と出会って、ツアーを終了する。奄美ならではの固有種、渡り鳥ともに少し淋しい感じとなってしまいましたが、観察することが難しいオオトラツグミの姿を堪能することができたことが、今回のツアーを印象付ける出来事となりました。新型コロナウィルスの状況がいまだ収まらないなか、ご参加いただいた皆様には心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

田仲謙介

オオトラツグミ 撮影:西川惠美子様

 

ルリカケス 撮影:寺田祐治様

 

ツミ 撮影:西川惠美子様

 

ムネアカタヒバリ 撮影:寺田祐治様

 

ムネアカタヒバリ 撮影:西川惠美子様

 

リュウキュウツバメ 撮影:寺田祐治様

 

ムネアカタヒバリ 撮影:西川惠美子様

 

タイワンハクセキレイ 撮影:寺田祐治様

 

タイワンハクセキレイ 撮影:西川惠美子様

関連記事

ページ上部へ戻る