【ツアー報告】ベストシーズンに行く!三宅島 2022年5月13日~15日

(写真:アカコッコ 撮影:小林浩様)

13日、伊豆諸島への船の玄関口となる竹芝桟橋のターミナルは週末の夜ということもあり、いつもよりも多くの人で賑わっている。しかし、夕方に発表された運行状況では西からの強風の影響で、波が高まることが予想されるということで、三宅島に着岸できない場合には八丈島に向かうという、条件付きでの出航が発表されていた。果たして明日の朝に三宅島に無事に着岸できるのか、少し落ち着かない思いでの出航となった。我々が乗船した橘丸も、東京湾内こそは静かに走っていたが、東京湾を出たころから波の影響を受けて次第に揺れるようになってきた。

14日、早朝4時の船内放送で起床後、すぐにデッキに出て、雨の状況を確認すると降ってはいるものの、思ったほどひどくはないようでまずは一安心。下船の準備を整え、三宅島に着岸するのを待つ。今回、訪れる三宅島には3つの着岸港があり、風向や海況によって着岸する港が変わるが、本日は島の東側に位置する三池港に着岸するようだ。入港して下船用のタラップを取り付けている間に外の様子を覗くと、先ほどと違い、大粒の雨が強風にあおられ、勢いよく横に流れている。タラップを取り付けていたスタッフの方からも「外は暴風雨です、お気をつけて下船ください」との注意喚起が行われる。降り立ってみると、見たままの強い雨で、駐車場のバスに移動するだけで濡れてしまう。このような状況のなか、予定していたコースをまわって観察・撮影をしても、あまり期待できそうにも無い。天気予報では午後には雨が止む見通しなので、これを信じて、まずは宿泊する宿へと向かうことにする。到着後は、宿の庭を訪れるオーストンヤマガラを観察しながら過ごしていると、三宅島を代表する鳥であるアカコッコも現れ、庭の芝の上を歩きまわってくれる。依然、雨は降り続いているが、アカコッコ館の開園を待って訪れる。しかし、雨のなかだと水場を訪れる鳥の動きが鈍く、ここで見ておきたいタネコマドリもわずか1回訪れたきりであった。ただ、予報通りに時間の経過と共に風雨も収まっていき、天気予報通りに正午を過ぎると曇り空へと変わった。午後からは宿周辺からアカコッコ館の周りで皆様に、アカコッコ、イイジマムシクイ、タネコマドリ、モスケミソサザイとそれぞれの目的の鳥を狙っていただく。すると、雨が止んだ午後からはタネコマドリの出現状況がとても良く、しっかりと観察することができたほか、ほかの目的としていた鳥の観察、撮影ができたようで、朝の暴風雨の時の不安も吹き飛んでしまった。

15日、今朝は昨日訪れられなかった場所へとまず向かう。バスを降りると、目的のウチヤマセンニュウのさえずりがよく聴こえてくるが、なかなか目立つところでは囀っていない。そのなか、よく見えるところで囀る1羽を発見し、この個体を観察、撮影してもらう。その後、周辺をすこし歩いてほかの個体を探すと、数羽の囀る姿を観察することができたほか、ウチヤマセンニュウが囀る背後ではカラスバトの姿も確認することができた。一度、宿に戻っての朝食、休憩の後は、阿古小学校跡地、三七山、椎取神社など、三宅島の噴火の跡を色濃く残す場所を中心とした島内一周を行う。昼食を食べて、本日の船が出港する伊ヶ谷港へと向かう。ほぼ予定通りに出航した後は海鳥観察を行うと、三宅島を出港して間もなく、次々とオオミズナギドリの群れが現れる。この航路ではよく見ることができる海鳥であるが、これだけの数に出会えることはなかなか無いのでは、というほど群れが出続けた。それに加え、クロアシアホウドリやハシボソミズナギドリもところどころで現れたので、ほとんど退屈する間もなく東京湾の入口へと差し掛かった。徐々に鳥影も薄くなったところで、看板の後ろに集まって本日の鳥合わせを行っていると、後方からスッーと黒い海鳥が船の真横に現れた。双眼鏡で確認すると、これがオオトウゾクカモメ!しかも私たちの乗っている船の真横で、オオミズナギドリに襲いかかるシーンを見せてくれ、ツアーの最後を締めくくってくれた。

今回は暴風雨の影響から、当初の予定の変更を余儀なくされることとなりましたが、皆様にご理解、ご協力をいただいてツアーを進行できたおかげで、期待していた鳥たちにもほぼ出会うことができました。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。ツアーでまた皆様とご一緒できることを楽しみにしております。

田仲謙介

モスケミソサザイ 撮影:ikotama様

 

イイジマムシクイ 撮影:小林浩様

 

ハシボソミズナギドリ 撮影:ikotama様

 

ウチヤマセンニュウ 撮影:小林浩様

 

タネコマドリ 撮影:ikotama様

 

オーストンヤマガラ 撮影:小林浩様

 

クロアシアホウドリ 撮影:ikotama様

 

オオトウゾクカモメ 撮影:小林浩様

 

アカコッコ 撮影:ikotama様

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