【ツアー報告】初夏の信州ハイキング ライチョウとコマドリに会いたい! 2022年5月28日~29日

(写真:コマドリ 撮影:武藤政男様)

誰もが一度は行ってみたい場所であり、誰もが憧れるのが上高地ではないでしょうか。ツアーとしても長らく企画はしてきましたが、コロナウイルス感染拡大に伴いなかなか催行されず、かなり久しぶりの催行となりました。過去、3日間で企画してきましたが、ほとんどが歩かなくてはならない探鳥地であることから歩行距離を考慮して、今回は土曜日日曜日の週末利用の2日間としてみました。主な目的はコマドリです。コマドリはそれほど珍しい鳥ではないですが、良い距離感、良い環境で見ることが案外難しく、良い場所はないかと探しまわった結果、上高地が良いのではないかと思い、このツアーが生まれました。また間近には標高約2700ⅿの乗鞍畳平があることから、ここではライチョウをはじめとした高山鳥4種を狙うことにしました。今回は前日までの雨が去り、ちょうど晴天のタイミングに合う状況での出発となりました。

28日、天気予報通り、早朝から快晴の新宿駅を予定通りに出発してひとまず松本駅を目指しました。土曜日ということもあり信州に向かう特急のホームには登山服を着こなした人が多く、もはやコロナウイルスの影響を全く感じることはありませんでした。特急利用のためもちろん渋滞の心配もなく松本駅に到着。ここで現地集合のお客様と合流してから上高地バスターミナルに向かいました。途中、道の駅風穴の里に立ち寄りましたが、空はより青くなってきているようでまさに快晴といった感じでした。その後は今回のツアーで見られる可能性が高い種について解説しながら進み、途中、大正池を眺めながら新緑の森を抜けて無事、上高地バスターミナルに到着。到着後は荷物を持って一旦、今回宿泊する宿に向かいました。河童橋ではまだまだ本格的な混雑ではなかったものの、なかなかの賑やかさ。橋からは見事な穂高連峰を眺めることができ、まさに上高地のパンフレットを見ているようでした。宿に到着後は観察機材の準備をしていただいてから探鳥に出発しました。このツアーでは宿から往復約5kmのルートをベースに鳥の状況や時間を見ながら探鳥します。まずは混雑している河童橋通過し森からはヒガラ、ウグイス、エゾムシクイの声が聞こえていて、いきなりニホンザルが斜面を下ってきては我々の足元を歩いて去っていきました。ただこの日はとにかくコマドリをと思っていたためとにかく足を進めます。針葉樹林からはキビタキやオオルリの声がかすかに聞こえ、さらに進むと足元には可愛らしいニリンソウが咲き、さらに進むと岩に張り付くようにイワカガミが咲いていました。そしていつものポイントまでくると間近にさえずるコマドリがいたためまずは観察。どうやら2個体がいるようでそれぞれがなわばりを主張するかのように鳴き合っていました、コマドリのさえずりはとにかく大音響で爆発するかのような迫力があります。見ているとソングポストがはっきりと決まっているようで、思いほのかあっさりと良いシーンを堪能することができたことから、さらに足を進めることにしました。途中、サンカヨウの花が咲く場所過ぎて一旦、休憩。その後はやや時間があったためさらに進んでみました。ここでは見事なニリンソウを見ることができ、必死に餌を探しているアカゲラに出会いました。しばらく観察しているとカケスが目の前にやってきたのでしばらく観察してから戻ることにしました。戻る途中でも再びコマドリを観察することができ、夕方になり混雑がない河童橋ではゆっくりと写真撮影をしてから宿に戻り、地元の食材をふんだんに使ったお料理をいただきました。

29日、この日も快晴予報だったことから04:30に出発して同じルートを歩くことにしました。河童橋までくると針葉樹のてっぺんでさえずるオオルリをじっくり観察することができ、朝ということもあり前日にコマドリが鳴いていなかった場所でも複数のさえずりが聞こえ、針葉樹林に入ると横枝に止まってさえずっているクロジに出会うこともできました。さらに進んでいくとまたまたコマドリが今度は道を歩いていました。しばらく見ているとやはりなわばり争いをしているようでさえずりが始まったため時間をとって観察することにしました。見ている間には間近にホトトギスが鳴き、枯れ木に止まったミソサザイもじっくりその姿を見せてくれました。そろそろ時間になったことから道を戻ると、その途中でも2カ所でコマドリを観察することができ、最後は間近にさえずるウグイスを観察して宿に戻って朝食をいただきました。朝食後は再び上高地バスターミナルまで歩き、ここからはバスにて畳平に向かいました。この日もとにかく見事な快晴。ただ、畳平のライチョウは晴れている日に見ることが難しいため少々心配でした。この日の畳平は快晴ながら風が強く気温10℃。着るものを整えないといけないような寒さでした。準備が終わった後はライチョウを探しに。途中、カヤクグリの姿を見ながらガレ場を登ると見事な絶景。丹念にライチョウの姿を探しましたが姿がなく、ただ斜面を下っていったあたりでなんとライチョウが飛んできて降りました。なんとか見ることはできましたがわずかな時間で再び飛び去ってしまいました。ただ戻る途中では距離はあったもののハイマツから出てきて歩いているオスを望遠鏡を使って観察することができました。また夏には案外見にくいホシガラスが何回も岩に止まってくれたためじっくりと観察することもできました。その後は一旦、バスまで戻って昼食。午後からは飛び回るイワツバメを観察しながら別の場所を歩きました。ここでは岩に止まってさえずっているカヤクグリ、そしてここでもホシガラスの姿はありましたがライチョウの姿はなく残念。またここまでじっくり見ることができていなかったイワヒバリは遠くからさえずりが聞こえていたものの、なかなか姿を見ることができずといった感じでしたが、最後の最後でじっくりとはいかなかったもののなんとか姿を見ることができました。

さて、かなり久しぶりになってしまった初夏の上高地乗鞍。ただし今回は両日共に快晴になってくれたことから見事な穂高の山々を堪能することができ、主な目的だったコマドリも意外なほどじっくりと観察することができました。歩行距離が長くなってしまうことから全体的に探鳥することは避けましたが、それでもオオルリやウグイス、アカゲラ、カケス、そしてクロジにも出会うことができました。一方、畳平ではライチョウとの出会いはあまり良い条件ではなく、本来、一番よく見られるイワヒバリもじっくり観察することができませんでした。ただ、カヤクグリ、ホシガラスは何度も姿を見せてくれ幸いでした。乗鞍畳平に関してはまた秋にも訪れます。秋はタカの渡り観察がメインとなりますが、同様に畳平では高山鳥4種、さらには麓の乗鞍高原ではエゾビタキなどの渡り鳥も探しますのでぜひまたお出かけください。たくさん歩くツアーで大変だったかと思いますが、新緑の林を歩くことは楽しいものだとあらためて感じました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

コマドリ 撮影:小澤正幸様

 

早朝の穂高連峰 撮影:芝田恵美様

 

コマドリ 撮影:嶋徹様

 

ホシガラス 撮影:武藤政男様

 

ホシガラス 撮影:小澤正幸様

 

畳平 撮影:芝田恵美様

 

アカゲラ 撮影:嶋徹様

 

アカゲラ 撮影:武藤政男様

 

大黒岳からの風景 撮影:芝田恵美様

 

コマドリ 撮影:嶋徹様

 

カケス 撮影:武藤政男様

 

カケス 撮影:嶋徹様

 

ウグイス 撮影:武藤政男様

 

アカゲラ 撮影:嶋徹様

 

ミソサザイ 撮影:武藤政男様

関連記事

ページ上部へ戻る