【ツアー報告】ブッポウソウとチゴモズが棲む松之山の森(再追加設定)2022年6月19日~20日

(写真:チゴモズ 撮影:ikotama様)

いよいよ梅雨入りの時期ですが毎年恒例になっている北信越のブナ林をめぐりながら主にブッポウソウとチゴモズを探すツアーが今年は再追加設定となったため、これが今季3回目のツアーとなりました。今回訪れる場所は私的には20年以上通っていますが、のどかな山村風景はまるで日本むかし話に出てくるような独特の風情があり、豪雪地帯らしい家屋の作りも印象的です。思い返すとこういった風景が全く変わらない点は驚きで、それだけに現地の環境にも配慮し、小型バスを使ったかなり小さなツアーにしています。タイトルにもなっているブッポウソウ、チゴモズといった希少な野鳥が生息しているほか、アカショウビン、サンコウチョウ、サンショウクイ、キビタキ、オオルリ、サシバ、ハチクマ、クマタカなどにも期待できます。梅雨に入り雨が心配な時期ではありますが、今回は曇りマークが並んだものの雨の心配はないとの予報の中で出発できることになりました。

19日、早朝からほぼ快晴の東京駅前を予定通りに出発して、ひとまず関越自動車道を走りました。午前中はほぼ移動のため、車内では今回のツアーで見られる可能性が高い種について解説しながら進み、途中、サービスエリアに立ち寄り、その後はやや雲が出てはきましたが雨の心配はなく進み、再度サービスエリアに立ち寄った後は一気に目的地を目指すことにしました。到着後は各自昼食、そして観察機材を準備していただいてから探鳥に出発しました。昼食後は早速、チゴモズを探すことにしました。まずは前回その姿があった場所を歩いてみました。遠くからはツツドリの単調なさえずりが聞え、鳴きながらカケスが飛んでいました。歩きだすとオオアカゲラが飛んできて木に止まり、電線にはモズのメスが止まっていました。さらに歩くとノジコがさずっている姿を観察することができ、同時にホオジロもやってきてさえずってくれたため同時に観察することもできました。その後は巣立ったヒナに餌を運ぶヤマガラが見られ、元気よくさえずっているオオヨシキリの声を聞くことはできましたがチゴモズの気配がなかったため移動することにしました。次の場所では一気に天気が回復して真夏のような陽気の中での探鳥になりました。付近からはクロツグミやサンコウチョウのさえずりが聞え、賑やかな雰囲気でしたが同様にチゴモズの気配はありませんでした。ただ1時間ほど経った頃にようやくチゴモズのかなりけたたましい声がしましたが姿を見ることはできず、2時間ほど経ってしまったことから一旦トイレに立ち寄ってから再び同じ場所に行ってみました。するとやや離れた場所から再び声が聞こえ、ようやく電線に止まっているチゴモズを見ることができました。しばらく見ていると盛んに湿地帯に降りては餌を捕っていて、付近ではじっと止まっているニュウナイスズメ、さえずっているノジコなども見ることができ、時間も経ったことからこの場所を離れて移動することにしました。ここでは夕方の順光に合わせてブッポウソウを狙いました。晴れたり曇ったりといった感じでなかなか天気が安定しませんでしたが、到着時はちょうど良い光が射してくる中、良い光線状態でブッポウソウに出会うことができ、独特の光沢ある姿を見ることができたほか、コバルトブルーの斑が美しく見える飛翔する姿も見ることができ、その後は宿に向かいました。到着後はやや早めの夕食をいただき夕食後はヨタカの観察を行いました。実はこの場所では数年前からヨタカの声が聞こえていて、昨年からは頻繁にヨタカの姿を見ることができていることから試験的にチャレンジすることにしていました。小雨が落ちてきてはしまいましたが観察に問題はなく、ひとまず声がするのを待ってみました。しばらくするとヨタカの声が響き始め、最初は遠かった声がいきなり近づいたかと思うと、鉄塔の上に止まって鳴いているヨタカを望遠鏡で観察する機会に恵まれました。その後、闇夜に消えていきましたが貴重な時間を過ごすことができました。

20日、この日はアカショウビンを狙って早朝探鳥に出かけました。この場所は沢が流れていて過去にはアカショウビンの繁殖記録もある場所です。到着時は空は見る見る晴れてきていてお天気に問題はなさそうでした。周囲のブナ林では枯れ枝に止まってさえずっているキビタキが見られ、針葉樹のてっぺんではシジュウカラがさえずっていました。するとようやく針葉樹の林からアカショウビンの涼しげなさえずりが聞えはじめ、やや離れた場所でももう1個体がさえずっていました。ただ残念ながらその姿を見ることはできず、一旦宿に戻って朝食をいただき、朝食後は昨日、ブッポウソウを見た場所を歩いてみました。小道の奥からはかすかにアカショウビンのさえずりが聞えていましたがすぐに止んでしまい、いつしかクロツグミの大音量のさえずりに変わっていました。美しいブナ林が広がる場所では横枝に止まってさえずるクロツグミをようやく望遠鏡で捉えることができ、戻る途中では枯れ木に止まっているブッポウソウも見ることができました。またアカゲラが低い木の幹に止まって餌を捕る様子をしばらく観察することもできました。その後はトイレ休憩を挟んで別のブッポウソウのポイントに立ち寄ってから一旦、昼食の時間にしました。昼食後は再びチゴモズを観察するために昨日、見ることができた場所に行ってみました。到着すると早速、ホオジロがさえずり、やや距離がありましたがニュウナイスズメのオス、続けてニュウナイスズメのメスの姿もありました。また上空を鳴きながらサシバのつがいが飛び回り、賑やかな時間を過ごすことができました。ただ、この日はなかなかチゴモズの気配がないため、少々場所を変えて待ってみることにしました。周辺からは相変わらずクロツグミ、そしてカッコウの声などは聞こえていましたが結果的にはこの日はチゴモズに出会うことはできず、最後はつがいで飛翔するサシバの姿を見て探鳥を終了しました。

梅雨に入り、何かとお天気が気になる季節でしたが、今回は初日は真夏のような暑さになる時間帯があり、翌日は終日曇りがちではありましたが蒸し暑い時間帯が続きました。ただ結果的には傘の出番なく過ごすことができ幸いでした。主な目的だったブッポウソウは良い光線状態の中で観察することができ、光沢ある独特の色合いを見ることができました。チゴモズは苦労しましたが特徴的な声を含め、その姿をじっくりと見る機会に恵まれました。ほかにも当地を代表するノジコ、キビタキ、サンショウクイ、クロツグミ、サシバなどを見ることができ、声だけでしたがアカショウビンやサンコウチョウのさえずりも聞くことができました。そして夕食後にはヨタカの姿を見ることもでき、当地が希少種たちにとって貴重な生息地であることがよくわかりました。今後も希少種たちが生息していける環境が保たれればと思いました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

サンショウクイ 撮影:嶋徹様

 

ブッポウソウ 撮影:ikotama様

 

ニュウナイスズメ 撮影:嶋徹様

 

サシバ 撮影:ikotama様

 

ブッポウソウ 撮影:嶋徹様

 

ニュウナイスズメ 撮影:ikotama様

 

サシバ 撮影:嶋徹様

 

ブッポウソウ 撮影:ikotama様

 

チゴモズ 撮影:嶋徹様

 

サシバ 撮影:ikotama様

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