【ツアー報告】根室・知床・鶴居村 冬の道東めぐり 2023年2月27日~3月1日

(写真:ミヤマカケス 撮影:内藤将様)

冬の定番となっているこの冬の道東めぐりも早いものですでに20年近く担当させていただき、過去、毎年のようにコースを変えながら催行してきました。当時はタンチョウ、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシが主役でしたが、シマフクロウに関しては厳冬期の出現率が極めて悪いため、出現率が極めて高い初冬に移行しました。ここ数年は撮影をご希望のお客様が急増したことから冬の道東ツアーはすべて「フォトツアー」として企画してきましたが、日程をやや短めの3日間とし、両日共にシングル部屋を使ったお手頃な冬の道東ツアーを新たに企画してみようとの思いでこのツアーを発表しました。久しぶりの冬の道東の探鳥ツアーでしたが幸いにも多くのお客様にご参加いただくことができ、また穏やかで春のような陽気になるとの予報の中、出発することができました。

27日、早朝から澄み切った青空からあたたかな日差しが差し込む陽気となったこの日、予定通りに羽田空港にご集合いただいたことから、まずは健康チェックシートの回収、資料の配布、この日の連絡事項をお伝えしました。ただ月曜日の朝だというのに羽田空港は想定外の大混雑でバタバタした中での出発となってしまいました。やや遅れたものの到着した現地もほぼ快晴で、まずは観察機材の準備をしていただいてから移動しました。1時間ほど走ってまずは道の駅で休憩。その後はまず漁港に向かいました。この日は主にコオリガモを探しましたが、ここでは残念ながら出会うことができず、漁港内にいるクロガモ、ウミアイサ、ホオジロガモ、シロカモメなどを観察しました。ただ堤防に止まっていたオオワシの成鳥がカモメ類に追われて飛び立ち、見事な飛翔を見せてくれました。その後は岬へ移動し、ここでは海上に浮いているラッコ、さらにはホバリングしているノスリ、乱舞するハギマシコの群れを見てから根室市最大の漁港である花咲港に移動しました。この日は意外なほどにカモ類の数が少なかったですが、まずはシノリガモの群れが間近に見られ、漁港内にではようやくコオリガモのオス、メスを見ることができました。やや場所を変えて観察すると漁港内にはクロガモ、ウミアイサ、カワアイサ、スズガモも見られ、上空をオオワシ、オジロワシも飛んでいました。ただコオリガモが離れてしまったことから再度移動して観察すると、今度は真下にコオリガモのオスが浮上し、その後はメスも間近に浮上してくれたことから手が届くような距離感で独特の表情のコオリガモをじっくりと見ることができました。

28日、この日の午前中は流氷に群れるオオワシ、オジロワシを観察するため早朝に出発して羅臼町に向かいました。途中、朝食を購入する時間をとっても07:30には到着し少々時間があったことから羅臼港でシノリガモやスズガモ、ウミアイサを観察しました。この日も前日同様に澄み切った快晴で真っ白い羅臼岳がバッチリ見えていました。その後は道の駅まで移動して各自、朝食、そして準備などをしていただき、その時間に合わせてクルーズ運行会社の事務所に行って流氷の状況を聞いてきました。流氷の位置はとにかく風任せのため西風が吹くと離れてしまい、北風が吹くと一気に押し寄せてきます。この日は流氷がやや離れてしまっていることから心配でしたが、20分ほど航行すれば流氷帯まで行けるとのことで安堵しました。08:30に出航後は20分ほど走って流氷帯に向かいました。しばらくすると海面に白い帯のように見える流氷帯がみるみる近づき、いよいよ流氷帯にたどり着きました。その後は見事な青空に映える羅臼岳を背景に群れ飛ぶオオワシ、オジロワシ、さらには流氷帯に群れるオオワシ、オジロワシを2時間に渡って堪能しました。この時期であればオオワシ、オジロワシが見られないということはまずありませんが、この日に見られた見事な風景は運が良くないと見ることができない風景だっただけに感動的でした。その後は道の駅でお土産を買う時間をとり、昼食を買う時間もとってから移動しました。まずは道の駅で休憩を取りましたがこの時点でかなり暖かく感じ、防寒服がいらないほどでした。最初に訪れた港は氷がかなり入り込んでいたため鳥影は薄く、飛翔するマガモ、ヒドリガモが見られた程度で、その後は道の駅周辺の浜を歩いてみました。渡り途中なのか2羽のツグミの姿があり、電柱にはオオワシ、オジロワシが止まっていました。海上は珍しく穏やかでかなりの数のホオジロガモが見られました。その後は別の場所まで移動。ここも残念ながらカモ類は少なく、オオハクチョウ、カワアイサ、ホオジロガモ、マガモを見たのみで港に移動しました。ここでも漁港内はかなり凍ってしまっていましたがヒメウ、シノリガモ、ホオジロガモなどが見られ、堤防にはずらっとオジロワシが並んで止まっていました。そしてやや時間があったことから岬に向かうことにしました。強風時であればバスを降りることも困難な岬ですが、この日は快晴無風だったことからオホーツク海の絶景を見ることができ、水平線上に真っ白い線を引いたような流氷が見事でした。周辺では30羽ほどのハギマシコが飛び回っていて断崖に止まる姿を見ることができたほか、間近に岩にオジロワシが止まって楽しませてくれました。

3月1日、この日は朝食後に出発してひたすら南下しまずは湖畔を目指しました。ここまで2日間は林や森の小鳥類を見る機会が全くありませんでしたが、この日はずっと林や森をめぐります。到着した場所では周辺の林で北海道らしい小鳥類を探しました。まずは最近、あまり見られなくなったミヤマカケスが地面に降りて採食している様子や、雑木林の中を飛び回る姿をじっくりと観察することができ、よく見ると間近にハシブトガラの姿もありました。別の場所に移動すると枯れ木にはアカゲラのメスが止まり、シロハラゴジュウカラが地上で採食していました。そしてここでもミヤマカケスが気に止まって餌を食べていました。さらに移動すると、ここではかなりの数のツグミが群れ、その中にはシロハラの姿もありました。またシメ、アトリも群れで地上採食していました。ただ、残念ながらヤマゲラやシマエナガには出会うことができず、最後の探鳥地に向かいました。途中にはエゾフクロウがいる場所があることから立ち寄って見ると、この日は幸いにも1羽が樹洞から顔を出していたことから運よく見ることができ、短時間でさっと切り上げてから鶴居村のサンクチュアリーに移動しました。観察ポイントに向かって歩いていくと、ここでシマエナガの声がしたことから見てみると、我々の前をシマエナガが飛んで通過し、その後は枯れ木に止まる姿を見ることができ、付近では激しくけんかしているハシブトガラ、さえずっているヒガラなども見られ、かなり暖かいせいかタンチョウに鳴き交わしも頻繁に見られました。

長らく企画してきた冬の道東めぐりはここ数年、撮影主体のフォトツアーだけを企画していきました。ただ今回はやや志向を変えて以前に企画していたような、比較的短時間でさまざまな探鳥ポイントをめぐり、シングル部屋利用でのんびり過ごしていただける探鳥ツアーとしてみました。まずはありえないような春のような暖かな陽気の3日間であったことは幸いでした。メインと考えていた流氷観光船からのオオワシ、オジロワシ観察では運よく流氷帯に到達することができ、見事な風景も印象的でした。またコオリガモをはじめ、クロガモ、シノリガモ、ウミアイサ、カワアイサといった個性的な海ガモ類、ワシカモメ、シロカモメ、そしてシマエナガ、エゾフクロウ、ミヤマカケス、シロハラゴジュウカラといった北海道だからこその亜種、またハシブトガラ、アカゲラ、シメ、アトリも楽しめました。北海道は季節や場所を問わず野鳥や野生動物が楽しめるところです。また季節や場所を変えてお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

流氷とワシ 撮影:刈田宏様

 

タンチョウ 撮影:久野守正様

 

ハギマシコ 撮影:内藤将様

 

タンチョウ 撮影:刈田宏様

 

オオワシ 撮影:久野守正様

 

アカゲラ 撮影:内藤将様

 

コオリガモ 撮影:刈田宏様

 

ハギマシコ 撮影:久野守正様

 

シノリガモ 撮影:内藤将様

 

ホオジロガモ 撮影:刈田宏様

 

オジロワシ 撮影:久野守正様

 

エゾフクロウ 撮影:内藤将様

 

オオワシ 撮影:刈田宏様

 

ハシブトガラ 撮影:久野守正様

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