【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦(追加設定)2023年10月16日
(写真:ツルシギ 撮影:岩尾信治様)
1日という限られた時間の中で海水域と淡水域の両方をめぐりながら、それぞれの環境に生息するシギチドリ類を集中的な観察する秋定番の日帰りバスツアー。淡水域での探鳥では道幅が狭い県道を走らなくてはならないため、車幅が狭い小型のマイクロバスを利用した少人数でコンパクトなツアーとし、アクセスを良くして歩く距離もできる限り軽減しています。また淡水域での探鳥ではさまざまなトラブル事例があることから、それらを回避するための探鳥ルールについて説明してから現地に向かうようにしています。秋のシギチドリ類の渡りは比較的長い期間見ることができる反面、ピークを当てることが難しいためツアーでは過去のデータを基にして種類数が安定している時期、また海水域に関しては潮位を見て日程を決めています。秋はなかなか天候が安定せず、現地は前日にかなり激しい雨が降りましたが、ちょうどこの日はその雨は上がり、終日晴天で日中は初夏のような陽気となりました。
16日、この日は潮位の関係から集合時間はやや遅めの09:00。前日の大雨は上がりこの日の東京駅前は快晴で、天気予報通りこれといって天気に心配はなく、むしろかなり暑くなるような雰囲気がありました。この日もほぼ時間通りにご集合いただいたことから、まずは海水域での探鳥のため千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではわずかな時間ながら、秋の地味な色合いのシギチドリ類識別のポイントを説明しながら進むとともに、この日に見られる可能性が高い種について解説しました。到着後は長靴に履き替えるなど準備をしていただいてからトイレに立ち寄り、それから干潟に向かいました。ひとまず干潟を見回してみるとこの日はシギチドリたちは干潟の中央からやや左側に寄っていたので、まずは左側から観察を開始しました。向かう途中では間近にハマシギ、トウネンが見られ、そこにミユビシギも加わって大きさの違いがよくわかりました。ただここでハヤブサが飛び回り、ウミネコをはじめシギチドリ類が一旦飛び立ってしまいましたが、飛び去ることはなく干潟に降りてくれたので助かりました。さらに歩くとダイゼン、メダイチドリが見られ、かなり遠くにいたハマシギの群れに混じるコオバシギの姿が見られたことから接近してみました。最終的にはかなり近い距離感で見ることができ、同時にミヤコドリも見られ、砂浜の上にはシロチドリやダイゼンが砂のへこみに入るようにして休んでいました。観察しながら全体を見てみましたが他の種や大型種は見られなかったことから探鳥を終了して足洗い場に移動し、靴や三脚の泥を落としていただいてから再びバスに乗って茨城県に向かいました。途中、サービスエリアで各自昼食をとっていただき、その後は車内で淡水域でのシギチドリ観察のルールについて説明しながら進み、最初のポイントでバスを下りて探鳥スタートとなりました。足元の水田では身を隠すかのようにタシギが佇み、セイタカシギの群れは畔に上がって休んでいました。さらによく見ると1羽のツルシギ、2羽のコアオアシシギの姿があり、畔の陰からは2羽のエリマキシギが現れました。また対岸の浅瀬にはタカブシギ、クサシギの姿があり、どこからともなく2羽のオジロトウネンが飛んできました。また付近の電柱にはオオタカ幼鳥が止まり、飛んできたミサゴの争うシーンも見られました。次の場所では水田を歩き回る9羽のウズラシギ、かなりの数のオジロトウネン、トウネンの群れが見られ、隣の水田ではポツンと1羽で餌を探すエリマキシギも見られました。さらに別の水田では20羽ほどのコアオアシシギ、8羽のツルシギを中心にハマシギ、ウズラシギを間近に見ることもでき、今季初のオオハシシギも見られました。その後は一旦、トイレに寄ってから別の場所に移動し、ここではたまたまヒバリシギ、トウネン、オジロトウネンが並んでいたことから比較しながら観察することができ、ほかにも複数のコチドリ、タカブシギが見られ、最後にこの日すでに訪れた2カ所を再度めぐって探鳥を終了しました。
この日は心地よい秋晴れというよりも、日中は初夏のような陽気になり汗ばむような時間帯もありました。シギチドリ類はやや減った印象はありましたが、海水域ではミヤコドリ、ダイゼン、ミユビシギ、ハマシギ、シロチドリ、メダイチドリ、コオバシギ、淡水域ではセイタカシギ、タシギ、ツルシギ、コアオアシシギ、クサシギ、タカブシギ、トウネン、オジロトウネン、ヒバリシギ、ウズラシギ、エリマキシギ、オオハシシギ、コチドリなど計22種のシギチドリ類に出会うことができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史