【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2024年2月1日~2日

(写真:イスカ 撮影:富川誠様)

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるためこういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。今回は幸いにも両日共に天候には問題ないとの予報が出ていましたが、たまたま低気圧が通過するタイミングに当たったことから風が強く、また1日と2日で急激な気温の変化があるとの予報が出ていました。

1日、この日の東京都内は早朝から雲一つない快晴で、前日同様に寒さも緩んで春のような暖かな朝でした。遠方からのご参加も可能になるようにとの考えから、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしていることもあってか、少々早めにご集合が完了したことから、予定よりも5分ほど早く東京駅前を出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話、さらには前回の現地の状況や鳥の状況などをお伝えしながら進め、途中、サービスエリアで休憩し、その後は現地を目指して進めました。ただこの頃からは急激に風が強まってきて、遠くに見えるはずの山々には厚い雲がかかり、天気予報とは異なった印象でした。ただバスは順調に進み、昼前には現地に到着しました。このツアーでは当日の現地の気温、路面状況が今一つわからないことから現地到着直前のサービスエリアで時間を取り、ここで現地の状況を各自で判断していただき身支度などを整えていただけるようにしています。また時間がちょうどお昼にさしかかることから昼食も済ませていただいています。バスを降りると地形の関係からか風が吹き荒れてはいませんでしたが、思った以上に寒さを感じました。準備ができた後は再度バスにて出発し探鳥ポイントに向かいました。途中、再度トイレ休憩を挟んでから現地に向かい、到着後はバスを降りて全く積雪がない舗装道を歩き出しました。すると早速、15羽ほどのイスカの群れが松の木に止まり、わずかな時間ながらも観察することができ、さらに歩くとヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラの混群に出会うことができ、よく見るとアトリ、ベニマシコの姿もありました。さらに周囲からイスカの声が聞こえたため見てみると間近にある松の木のてっぺんに止まっているイスカのメスの姿がありました。ただ逆光だったことから順光側に移動すると若草色が鮮やかなイスカのメスを間近に見ることができ、意外なことにしばらくの間、じっと止まっていてくれました。また付近にはジョウビタキのメスもいたことから同時に観察することができました。その後は上空を鳴きながら通過していくイスカを見ながら道を進み、さらに歩くと道端で餌を探しているオオマシコの姿がありました。そのため少しずつ距離を詰めながら観察し、ほかにも斜面で草の実を食べている別個体も見ることができました。さらに歩くと群れで飛んでくるイスカの声が聞こえたため見てみると、松の木の上に群れで止まっているイスカがいたことらようやくその姿をしっかりと観察することができました。そして驚いたことにどこからともなく飛んできたハイイロチュウヒのオスが周囲を飛び回って驚かされました。また付近ではツグミ、カヤクグリも見ることができ、時間も過ぎたことから引き返すことにしました。戻る途中でも再びオオマシコの群れで出会うことができ、しばらく見ていると次々に道路に降りて餌をついばんでいました。最初は5~6羽かと思っていましたがみるみるその数が増え、幸運なことに真っ赤なオオマシコのオスの成鳥が1羽混じっていました。観察を続けるとその数は結果的には15羽ほどとなり、いつの間にかオオマシコのオスの成鳥個体は2羽になっていました。時間がかなり過ぎてしまったことから観察後はカシラダカの群れやカヤクグリなどを見ながらバスまで戻り、一旦トイレに立ち寄ってから再び現地に向かいました。この頃には風は刺すように冷たくなっていて、これといった鳥の気配もなかったことから日没に合わせるようにこの日の探鳥を終えました。

2日、この日も早朝から晴れ間が広がってきていて天気には問題なかろうといった感じでしたが気温は-5℃と低く空気の冷たさも感じました。この日は朝食後に出発して現地を目指し、トイレ休憩後は昨日と同じルートを歩いてみることにしましたが、前日にオオマシコがある程度見られていることもあり、この日は過去の結果を踏まえて広範囲には動かず、極めて狭い範囲の中で時間を使って主にイスカを狙ってみることにしました。バスを降りると早速、周辺からイスカの声が聞こえ、大小さまざまな群れが周囲を飛び回っているようでした。しばらく見ていると10羽ほどのイスカの群れがカラマツに止まるも、すぐに飛び去ってしまいました。少し歩くと真っ赤なベニマシコのオスが枯れ木に止まり、付近にはジョウビタキ、さらにはベニマシコのメスの姿もありました。その後は午前中にイスカがよく見られている高台の場所で待機してみることにしました。この日は周辺の山々は見事な雪景色に変わっていて、そこから吹いてくる風はとにかく冷たく寒さはより厳しく感じました。風があるためイスカがやってくるか心配でしたが、運が良かったようで早速、4羽のイスカが飛んできて目の前のカラマツに止まってくれました。一旦飛び去ってしまったもののまた別の群れが飛んできてシラカバに止まり、さらには20羽ほどの群れが飛んできて対岸の斜面に降りていきました。そのため場所を変えてみると眼下に並ぶ杉の木に止まっている30羽ほどのイスカの群れが見られ、オスの赤、メスの緑色が鮮やかに見え、しばらくの間観察することができました。しばらくして群れが飛び去ってしまったため場所を変えようかと思いましたが、道端にいるオオマシコを観察している人たちがいたことからひとまず避けて別の場所を歩いてみました。ここではカシラダカの群れが見られたほか、間近の道端で餌を探している2羽のカヤクグリをじっくりと観察することができました。その後は再びイスカを探して元の場所に戻ってみると、再度20羽ほどのイスカの群れに出会うことができ、一旦飛び去ってしまったものの、すぐに別の群れがやってきて杉の木に群れてくれたことから、再度じっくりと観察することができました。ただこの頃にはさらに風が冷たくなってきていてかなり厳しい寒さになっていました。そのためバスに戻る方向で歩いて行くと道端で餌を食べているベニマシコのメス、さらにはカシラダカの群れ、そして最後はシロハラも現れてくれました。その後はトイレに立ち寄ってから公園で昼食の時間とし、昼食後は公園内で探鳥をしました。川ではカルガモ、オオバン、カイツブリ、公園を歩くと湖畔からはキンクロハジロ、カンムリカイツブリが見られ、小さな港にはミコアイサのオスの姿がありました。館察しているとノスリがやってきて木に止まり、さらに上空にはホバリングするチョウゲンボウが現れました。風が冷たくなる中、さらに歩くと2羽のコハクチョウが見られ、付近にはつがいと思われるオス、メス2羽のホオジロガモの姿もありました。さらに観察を続けていると、どこからともなく続々とヒドリガモが飛んできて着水し、いつの間にかやってきたオス1羽、メス3羽のミコアイサが争うような行動を見せて楽しませてくれました。この日はずっと八ヶ岳には雲がかかっていましたが、この時間には雪を冠した美しい八ヶ岳を望むことができました。

昨秋からの冬鳥の渡来状況を見る限り、この冬は冬鳥の渡来状況が比較的良いだろうと判断していました。結果、各所でさまざまな冬鳥との意外な出会いがあり、それが裏付けられました。当地はここ2年間は冬鳥の渡来状況が芳しくなく、イスカもオオマシコも個体数はわずかで、出会いはなかなか難しいものでした。ただ今年はたまたま冬鳥の渡来状況が良かったことからイスカ、オオマシコともに期待以上の出会いがあり、特に真っ赤なオオマシコのオス成鳥に出会えたことは幸運としか言いようがありません。またベニマシコ、アトリ、カヤクグリ、ルリビタキ、ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、カヤクグリ、カシラダカなども見られ、ハイイロチュウヒの登場には驚かされました。諏訪湖畔では少ないながらもミコアイサやホオジロガモ、コハクチョウ、ノスリ、チョウゲンボウにも出会えました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

べニマシコ 撮影:須崎明男様

 

オオマシコ 撮影:一ノ瀬徹様

 

オオマシコ 撮影:福渡毅様

 

オオマシコ 撮影:前野ふみ子様

 

イスカ 撮影:富川誠様

 

カヤクグリ 撮影:須崎明男様

 

ノスリ 撮影:一ノ瀬徹様

 

オオマシコ 撮影:福渡毅様

 

オオマシコ 撮影:前野ふみ子様

 

イスカ 撮影:富川誠様

 

イスカ 撮影:須崎明男様

 

イスカ 撮影:福渡毅様

 

オオマシコ 撮影:富川誠様

 

オオマシコ 撮影:須崎明男様

 

コハクチョウ 撮影:福渡毅様

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