【ツアー報告】アホウドリに会いたい!東京~八丈島航路 <追加> 2015年4月15日(水)~16日(木)
いよいよ待ちに待った海鳥たちの北上期がやってきました。北航路はまだまだ海鳥たちが到達していないことから、まずは北上してくる海鳥たちを迎えに行く感覚で、東京~八丈島航路に往復で乗船する企画からスタートすることにしました。この航路は長らく運行していた定期船に変わり、最新鋭の「橘丸」が就航し、居住性を含めさまざまな意味でご参加いただきやすくなりました。総トン数も5700トンと海鳥観察にはちょうど良い大きさで、観察デッキが低いのも魅力です。
15日、皆様いつもながらご集合が早く、ずいぶんと早めに竹芝桟橋にお越しの方もいらっしゃったようで、集合時間の21:00には皆様にご集合いただけました。まずはツアーの行程、連絡事項、アホウドリが良く見られる海域、識別ポイントなどの解説を行ないました。また、この日はたまたま事前の風、波予想が悪かったことから条件付運航となったため、万が一の事態に備えてその際の対応についての注意も行いました。22:10には乗船開始となりましたので速やかに乗船し、明朝からの観察に備えて早めにお休みいただきました。この日は平日ということもあり、乗船人数はかなり少ない印象でした。
16日、早朝04:30に起床しましたが、船室にいるとそれほど揺れを感じることもなく、予報が外れたのかと思いましたが、デッキに出ると強烈な西風のため右デッキには立っていられず、逆光ながら左デッキで観察することにしました。うねりはおおよそ3mはあろうかという感じで、ほぼ予報通りでした。橘丸はまだまだ薄暗い05:10に西風を避けるため三宅島の東側にある三池港に着岸しました。そして出航後は御蔵島を目指しますが、高波のため早々に御蔵島欠航が決まり、橘丸はそのまま八丈島を目指しました。御蔵島はオオミズナギドリの繁殖地であることから、この近海では信じられないほどのオオミズナギドリの大群が見られ、強風にあおられながらも飛翔する姿を繰り返し観察することができました。06:00頃には波はやや穏やかになり、06:05、06:07、06:45と立て続けにクロアシアホウドリが現れ、07:00には待ちに待った頭部が金色で白い部分が多いアホウドリの亜成鳥が現れました。この個体は船体右側後方に張り付くように飛翔し、船を追い越したかと思うと再び後方に戻り、また船首側に飛翔するという行動を数回繰り返してくれたため、その美しい姿を10分ほど堪能することができ、いきなりのクライマックスに大いに湧いたのでした。その後は07:45に全身ほぼこげ茶色のアホウドリ亜成鳥が出現し、同じように船体脇を飛翔してくれました。その後はその数を増すオオミズナギドリを見ながら八丈島に到着しました。到着後は一旦待合室に入っていただき、その後帰りのチケットを配布し再度乗船。まずは御蔵島を目差しますが、帰りも早々に欠航が決まりました。しばらくの間はやはりオオミズナギドリの姿を見ながら進みましたが、11:20には数百羽の大群が見られました。11:40にはクロアシアホウドリ、11:50にはカツオドリ、そして12:20、12:25にはアホウドリ亜成鳥、三宅島出航の13:40には視界に4~5羽のアホウドリの姿があり、中には完全な成鳥個体もいました。その後は再びカツオドリの姿があり、14:10、14:40にアホウドリが出現し、14:45以降は10分程度の間隔でクロアシアホウドリが見られ、その状況は15:30まで続きました。15:40には渡り途中と思われるツバメが飛び、休憩をとるためにデッキにやってきました。初めは鉄パイプに止まって休んでいましたが、お客様の頭に止まって休むなどしてデッキ上は和やかな雰囲気になりました。これもある意味航路探鳥の楽しみの一つで、鳥たちの渡りを実感することができました。房総半島が見えてくる16:30にデッキ上で鳥あわせを行い17:00に観察を終了しました。
今回はツアー当日の風、波予報が悪く、船の運航そのものに心配がありましたが、無事に往復することができました。トウゾクカモメ類が全く見られなかったのは意外でしたが、狙いのアホウドリは計20個体ほど見られ、07:00には予想もしていなかった素晴らしいシーンに恵まれました。優雅な飛翔と愛くるしい表情までしっかりと観察できたことは印象的でした。やや波のある条件での観察、大変お疲れ様でした。
石田 光史