【ツアー報告】ベストシーズンに巡る夏の北海道 2016年6月17日~23日(フェリープラン)6月19日~22日(飛行機プラン)

(写真:シマアオジ 撮影:高木信様)

誰もが憧れる夏の北海道。本州が梅雨に入るこの時期はやはり梅雨がない北海道で鳥づくしの日々を送りたいものです。今回は4日間の飛行機プランだけでなく、なんと7日間を探鳥三昧するフェリープランを加え、この時期北上期を迎える海鳥たちも観察するという決定版的要素を加えてみました。

17日、私は一足先にフェリープランのお客様と共に出発日を迎えました。予定通りに22:30に大洗フェリーターミナルにご集合いただき、ツアー全体の案内、そして翌日の案内などをしてから乗船しました。

18日、過去の観察データから海鳥の出現が多い金華山沖から観察を開始しました。空は快晴であたたかな朝でしたが1.5mほどのうねりがありました。しばらくの間はウミネコ、クロアシアホウドリなどを眺めながら進みましたが08:00を過ぎた頃からはハシボソミズナギドリとそれに混じるアカアシミズナギドリが見られました。09:00を過ぎると海上は穏やかになり着水しているクロアシアホウドリが目立ち始めました。10:00には乱舞するオオミズナギドリの群れとカマイルカが盛り上げてくれました。10:30にはフルマカモメが見られ、その後11:00頃からはコアホウドリが連続して出現し、さらにクロアシアホウドリも混じり、一時は30羽ほどの着水個体が連続して出現する状況になりデッキ上はお祭り騒ぎのような状態になりました。12:25には3羽のオオトウゾクカモメが飛び立ち、12:45には着水しているアカアシミズナギドリも見られました。12:50には着水しているクロアシアホウドリの群れの中にアホウドリ亜成鳥がいました。13:00以降はやや風が出てきて波が立ち始める中、連続してオオトウゾクカモメが見られ16:00にはマッコウクジラの噴気が上がりました。それ以降は徐々に増えるフルマカモメを見ながら18:45に観察を終了し、着岸後は苫小牧に一泊となりました。

19日、朝食後は市内で探鳥です。まずは駐車場でアオジ、センダイムシクイ、ヒガラなどの声を聞き、森の中ではオオアカゲラを観察しました。その後はこの場所ではあまり見かけないオオルリのさえずる姿、イカル、エナガなどを楽しみ、飛行機プランのお客様と合流するため千歳空港に向かい、合流後はこの日の宿泊地に向かいました。到着後は一旦チェックインを済ませてから探鳥に出かけました。まずはこの地のメインであるアオバトを求めてポイントに行くと、早速アオバトが飛びかっていました。遠くの林を望遠鏡で見ると至る所にアオバトの姿があり見事でした。また周辺ではオオルリが歌い、時には目線や眼下でさえずる姿をじっくりと観察することもできました。ほかにもカワガラス、ニュウナイスズメなどを観察して17:30に探鳥を終了しました。

20日、この日は05:00に出発しました。途中、早くも小雨が降り出して心配になりましたが現地が近づくにつれて雨は止み、到着時には山々がはっきりと視界に捉えられる状況で安堵しました。準備が順調に進んだことから探鳥ポイントに一番乗りすることができました。とりあえず視界は良く360度見渡すことができたため後はギンザンマシコが現れるのを待つだけです。待っている間にはノゴマが見事なさえずりを聞かせてくれ、その姿も堪能することができました。またビンズイがさえずり飛翔し、カヤクグリの姿もありました。結局30分ほど動きがなかったですが、ある時間を境にギンザンマシコは連続して現れ、ハイマツ上や展望台の岩の上でさえずったり、オスメスのペアで餌採りをしたりとその姿を見せてくれました。09:00には霧が広がってきたことからほぼ予定通りに山を下りることにしました。予定よりもやや早く下山できたことからその後、道沿いに2か所ほど立ち寄りコルリ、アオバトなどを観察して一気に北上しました。天気予報では雨とのことだったのでなるべくゆっくり行こうと思っていたのですが、現地は薄日が射す穏やかな陽気でした。ネイチャーセンター周辺では複数のコヨシキリのさえずりが聞かれ、道北では珍しくシマセンニュウのさえずりも聞かれました。木道を歩いて行くとノビタキの巣立ちビナの声が聞かれ、見ていると親鳥がせっせと餌を運んでいました。ただ数年前まで見られていたツメナガセキレイの姿はなく予定を早めて移動することにしました。途中にある池ではアカエリカイツブリの姿はなかったもののヨシガモが繁殖しているようで対岸の水際に巣が見えました。さて、現地に到着すると毎回ほぼ雨でとても寒い印象が強いにもかかわらず今回は信じられないような陽気でした。早速シマアオジのポイントに行って待機することにしました。待っている間にはオオジシギがディスプレイフライトを見せ、エゾカンゾウにはツメナガセキレイ、コバイケイソウにはホオアカの姿がありました。そして30分も経たないうちにフルートの音のようなさえずりを響かせるシマアオジが登場して楽しませてくれました。年々その数を減らしているため心配していましたが今年も無事出会うことができました。

21日、もうすでに青空が広がる04:30に出発しました。とにかく今年は天候に恵まれ信じられないような陽気の朝でした。ひとまずシマアオジの出現を待つことにしましたが、この日もあっさりその姿を見ることができ、美しいさえずりも堪能することができました。また付近ではマキノセンニュウの声も聞こえたため探してみるとワタスゲが咲くエリアでその姿を見つけることができました。また地上に降りてさえずるオオジシギ、エゾカンゾウに止まって歌うオオジュリン、最後は間近にツメナガセキレイの姿もじっくり見ることができました。朝食後も探鳥しましたが、この頃には汗ばむような強い日差しのもとでの探鳥となり驚きました。その後は1時間ほど移動して昼食をとり天売島に向かいました。天売島に向かう航路では早速ウトウの群れが見られ、焼尻島の手前からはケイマフリの姿も見られ始めました。そして天売島に近づいたころからはウトウ、ケイマフリが続々登場して盛り上がったのでした。到着後は一旦宿に入り、その後は夜に訪れる赤岩展望台から観察を行いました。まだウトウの姿はなかったものの眼下の海上に浮かぶケイマフリ、飛び交うアマツバメ、そしてウミネコやオオセグロカモメを追うハヤブサの姿が見られ、意外なほど数が多い印象のゴマフアザラシの姿もありました。また周囲ではノゴマが歌っていました。夕食後は巣に戻ってくるウトウの観察のために再び赤岩展望台に向かいました。この日は幸いにも美しい夕陽が見られ、サロベツ原野同様に信じられないようなポカポカ陽気でした。薄暗くなるにつれて餌の魚を咥えたウトウが次々に飛んでくるようになり、その数は見る見る増え、最後は我々が立っている場所にまで飛来するようになりボーッと立っていると危険なくらいでした。いずれにしてもこの光景は何度見ても感動的です。ぜひ一人でも多くの方にご覧いただきたいと強く思いました。

22日、この日は04:30からと06:00からの2班に分かれて漁船クルーズを楽しみました。やや風があったので心配しましたが海上はとても穏やかでした。海鳥観察にはさまざまありますが、小型のウミスズメ類観察にはやはり漁船からの観察が有効です。ポイントに行くとウトウやケイマフリが間近に見られ、岩場で横になるゴマフアザラシの姿もありました。そしてここに来たら絶対に見たい夏羽のウミガラスの姿も堪能することができ、穏やかな海を巡るクルーズを満喫することができました。帰りの天売島から羽幌に向かう航路でもたった一度ながらウミガラスの姿を見るなどして千歳空港に向かいました。空港では飛行機プランの皆様をお見送りしてから苫小牧フェリーターミナルに向かい、2時間ほどの自由行動の後、22:30に乗船しました。

23日、帰りは早朝が勝負ということから04:30に探鳥開始です。夏は明るくなるのが早いため船はまだ津軽海峡の真ん中あたりを航行しています。天候はどんよりとした曇り空で時より小雨が降る状況で肌寒く感じました。しばらくの間はコアホウドリの飛翔が見られましたが05:10にようやく1羽のコシジロウミツバメが飛び、その後は30分ほどの間に20個体ほどのコシジロウミツバメが見られました。また、着水しているオオトウゾクカモメが飛び立ち、06:00頃には船の真横をアカアシミズナギドリとフルマカモメが並んで飛翔しました。08:00には珍しく2羽のキジバトがしばらくの間、船に並んで飛翔しました。09:30頃からはしっかりとした雨が降り始める中、ハイイロミズナギドリ、クロアシアホウドリがコンスタントに出現して楽しませてくれました。それ以降は霧も出始めて視界不良になる中、クロアシアホウドリ、ハシボソミズナギドリ、アカアシミズナギドリ、着水しているウトウなどを観察しながら14:30に観察を終了しました。

今年の夏の北海道ツアーは概ね良い天気に恵まれ、予定していた種を全て観察することができました。毎回、肌寒いことが多いのですがサロベツや天売島では汗ばむ時間帯もあり驚かされました。今回見たシーンはどれをとっても印象的だったと思いますし、北海道の魅力はまだまだ奥深いものがあります。ぜひ季節を変えてまた北海道にお出かけください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

ギンザンマシコ 撮影:須﨑明男様

ギンザンマシコ 撮影:須﨑明男様

 

オオジシギ 撮影:高木信様

オオジシギ 撮影:高木信様

 

ケイマフリ 撮影:須﨑明男様

ケイマフリ 撮影:須﨑明男様

 

オオアカゲラ 撮影:高木信様

オオアカゲラ 撮影:高木信様

 

ウミガラス 撮影:須﨑明男様

ウミガラス 撮影:須﨑明男様

 

ツメナガセキレイ 撮影:高木信様

ツメナガセキレイ 撮影:高木信様

 

マキノセンニュウ 撮影:須﨑明男様

マキノセンニュウ 撮影:須﨑明男様

関連記事

ページ上部へ戻る