【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい! 2024年2月5日~6日

(写真:オオマシコ 撮影:稲田貢様)

人気のある赤い鳥の中でも特徴的な嘴を持っているイスカは日本国内では冬鳥とされていますが夏季にも見ることがあり、少々謎がある鳥でもあります。また毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないのも事実で、出会うことはなかなか難しいのが現実です。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要で、松かさをこじ開けやすいよう嘴が互い違いになっていることが最大の特徴です。この嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べるため、こういった採食シーンが見られればとも思いツアーを企画しています。またツアーではここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用したプランにしています。今年のこのツアーではここまでは天気は概ね良い状況が続いてきましたが、今回は南岸低気圧の接近に伴い、5日の午後からは都心でも積雪があるとのことで大雪注意報や警報が出る可能性がある中での出発になってしまいました。

5日、この日の東京都内はどんよりとした曇り空で今にも雨や雪が降ってきそうな感じでした。このツアーは遠方からのご参加も可能になるようにとの考えから、集合時間を通常よりもやや遅めの東京駅前09:00にしていることもあってか、少々早めにご集合が完了したことから、予定よりも5分ほど早く東京駅前を出発して、ひとまず中央自動車道を走りました。バス車内ではいつものようにこのツアーで見られそうな鳥の解説やイスカの話、さらにはここまでの現地の状況や鳥の状況などをお伝えしながら進め、途中、サービスエリアで休憩したころからは小雨が落ちてきていました。その後は次第に強まってきた雨がいつしか雪に変わる中を走りましたが、なんと長野県に入った10:30には中央道が通行止めになってしまいました。雪の降りかたはまだまだ強くはなかったですが、予防的な措置のようでこれは意外な出来事でした。ひとまず高速道路を降りた後は国道を走り、さらに雪が激しくなる中、ちょうどお昼になったことから道の駅でバスを止めて昼食の時間にしました。ここでは大型トラックが次々に止まってはチェーンを装着する様子が見られました。その後はかなり激しくなってくる雪を見ながら走りましたが、各所で大型トラックが動けなくなる状況が見られるなど、道はどんどん渋滞が激しくなってきていました。2時間ほど走ってようやく諏訪市内まできたことから、ここで一旦、今回お世話になるホテルに立ち寄ってトイレを済ませ、その後はさすがに峠には行けないと判断し、予定を変更して公園に行ってみることにしました。この頃には周囲が薄暗くなるほどの激しい雪が降っていましたが、諏訪湖が見えるとホシハジロの群れやカワアイサ、ミコアイサ、ホオジロガモなどが見られ、街路樹のナナカマドにはヒヨドリ、ツグミ、ムクドリがやってきていて、とある場所ではキレンジャクとヒレンジャクの群れがやってきていて、車に驚いて飛びたって電線に並んで止まっていました。到着した駐車場はすでに10cmほどの積雪があり、やや風があったことから視界もはっきりしていませんでしたが、ここまでほとんど見られていなかったミコアイサが15羽ほど群れ、真っ白いオスが群れている様子は見事でした。ほかにもホオジロガモが見られ、湖畔まで来るとホシハジロ、カルガモ、オナガガモ、カンムリカイツブリが見られ、湖畔に木にはカワラヒワの群れ、そしてそれに混じるように1羽のイカルが見られました。トイレに立ち寄った後は吹雪に追われるようにバスに戻ると、ここでもカワラヒワが群れ、2羽のアトリが混じっていました。その後はみるみる薄暗くなる中、ホテルに向かいました。ホテル到着後も外の様子を気にしていましたが、雪はどんどん強まってきている感じがしました。

6日、この日は幸いなことに10:00には雪は止み、その後は晴れてくるとの予報でしたが、薄暗いうちに起床して外を見ると雪の降り方は変わっておらず、周辺では早くも除雪作業をする人達の姿がありました。予定では朝食後に峠のポイントに行く予定でしたが、まだまだ雪が激しかったことからまずは公園に行って様子を見てみることにしました。途中、ある程度の渋滞がありましたが諏訪湖が見える場所までくると雪は小降りになってきていて空も明るくなってきていました。到着後はバスを降りましたが驚いたことに積雪は30cmを超えるほどでした。ただ探鳥を始めると雪はほぼ止み、一部に青空も見えてきていました。この日はここまでほとんどカモ類がいなかった場所に20羽ほどのミコアイサが群れ、ほかにもホオジロガモのつがいやカワアイサのメスも見られ、周辺の木にはカワラヒワ、アトリが群れて飛び回っていました。途中の車窓からはツグミやムクドリ、ヒヨドリなどが見られましたがここではその姿はなく、天気も回復傾向であることから峠のポイントに行ってみることにしました。まずはトイレに立ち寄ってからポイントに向かいましたが、到着するとちょうど除雪車がきていて除雪の真っ只中で幸いにも通る道は確保されていました。到着後は積雪はさらに増えて40cm以上はあろうかという道を歩いていきました。天気は回復していましたが、周囲は一面の銀世界で霧氷が見事でした。この日は残念ながらイスカの気配はなく、最初の展望台では3羽のベニマシコが飛んできて木に止まり、ジョウビタキのオスが目線ほどの枯れ木に止まってじっとしていました。その後はなかなか前に進むことも困難なほどの積雪がありましたが、なんとかがんばっていただき進むと、我々のすぐ近くの木にオオマシコの小群が飛んできて止まりました。積雪が多かったせいか群れは地上には降りられず、付近になるハギにとりついて種子をついばんでいました。しばらくすると群れは飛んでカラマツに止まったため望遠鏡で見てみると、いつの間にか真っ赤なオスの成鳥個体が3羽混じり、その後は再び付近になるハギにとりついて種子を食べていました。たまたま霧氷がついていたこともあって普段、なかなか見ることができない姿を雪景色の中で見ることができ、その後は道路脇のハギに移動したり、再び飛びたってカラマツに止まったりと、しばらくの間、その姿を楽しませてくれ、結果的には20羽ほどの比較的大きな群れのようでした。観察後はイスカを探して別のルートも歩きましたが、ここでも膝下まである積雪の中をラッセルしながら歩かなくてはならず、広範囲に動き回れないことからバスのある方向に戻りました。途中、ジョウビタキのメスやカラ類の群れは見られたものの結果的にはイスカの姿を見ることはできませんでした。バスまで戻った後は一旦、トイレに立ち寄って道路状況を見てみましたが、すでに13:00だというのに高速道路は開通しておらず、そのため予定より1時間ほど早く帰路に着くことにしました。しばらくは国道を走り、途中道の駅で休憩。この頃になってようやく高速道路に乗れるようになったことから高速道路を走ってサービスエリアまで行きました。ただ八王子インターからは再び通行止めのため関越道や東名道に回り込むことも考えましたが渋滞がひどいため、八王子からは高速道路を降りて国道で東京駅を目指す判断をしました。結果的には45分ほど遅れたもののドライバーさんの好判断のおかげで大きな渋滞なく東京駅に戻ることができました。

今年はこのツアーを4回催行させていただくことができ、また昨秋からの冬鳥の渡来状況が良かったことが幸いしてここまで毎回、イスカ、オオマシコを堪能することができていました。ただ今回は運悪く南岸低気圧の接近に伴い、東京都内でも積雪があるとの予報が出てしまいました。探鳥地が山間部であることから行くタイミングの判断が難しく、結果的には初日は現地に行くことを諦めました。ただ、翌日はなんとか天候が回復してくれ、現地に向かうことはできましたが積雪が膝くらいまであり思ったような探鳥はできませんでした。ただそれでもかなりの数のオオマシコに出会うことができ、さらには美しいオスの成鳥個体を霧氷に囲まれた環境で観察することができ貴重な経験ができました。ほかにもベニマシコやアトリの群れ、イカル、車内からでしたがキレンジャク、ヒレンジャクが見られ、諏訪湖畔ではここまで数多く見られていなかった、ミコアイサ、ホオジロガモ、カワアイサも見られました。イスカは残念でしたがまたの機会、ぜひ再チャレンジしてください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

アトリ 撮影:坂東俊輝様

 

オオマシコ 撮影:稲田貢様

 

カワアイサ 撮影:坂東俊輝様

 

ジョウビタキ 撮影:稲田貢様

 

ホオジロ 撮影:坂東俊輝様

 

キレンジャクとヒレンジャク 撮影:稲田貢様

 

ホオジロガモ 撮影:坂東俊輝様

 

ミコアイサ 撮影:稲田貢様

 

オオマシコ 撮影:坂東俊輝様

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