【ツアー報告】タカ渡るガン渡る!秋の北海道 2016年10月7日~12日(フェリープラン)10月9日~11日(飛行機プラン)

(写真:ハヤブサ 撮影:須崎明男様)

本州でのタカ渡り観察は一段落ですが、北海道ではノスリをはじめとした小型タカ類の渡りが観察でき、さらには北から渡ってきたマガンたちが道内で羽を休めています。さらには岬から海上へ飛び立っていく小鳥たちの渡り風景も観察できることから、これらを全て楽しもうと企画された秋の北海道。そしてこの時期は珍鳥として知られるハジロミズナギドリが最も見やすいことからフェリーコースも企画しました。今年は台風が多く、今回も直前に台風の接近がありましたが、ちょうど台風が過ぎ去ったタイミングで出発することができました。

7日、フェリーコースでご参加のお客様が22:15にはご集合されたことから、ツアー全行程の説明、翌日の案内などをして22:30に乗船しました。

8日、この時期は圧倒的に午後から夕方が重要なため観察は08:00からとしました。早朝から小雨模様でしたが渡り途中とみられるエゾビタキの姿があり、08:00にはセンダイムシクイ、08:30にはジシギ類も見られ、さらにはそれら渡り中の小鳥を狙ってかハヤブサの姿がありました。08:40にはオオバン、そしてコアホウドリが3個体続けて出現しました。09:30にはウミネコ、オオセグロカモメが見られ、着水しているクロアシアホウドリも観察できました。10:00にはやや雨が強まり視界不良気味になりましたが、ハシボソミナギドリが飛び、11:00頃からは船上で休んでいたキジバトが飛び交いました。11:05には船で休もうと思ったのか、ミサゴが急接近してきましたが、我々の姿を見て逃げていったのでした。12:00頃からは風が冷たく感じるようになる中、オオミズナギドリの群れが飛び、13:00にはクロアシアホウドリ、13:15にはハシボソミズナギドリ、オオバン、そして13:25にはアカアシミズナギドリが見られました。14:00を過ぎるとハクセキレイの姿が目立つようになり、デッキ上には最大で5羽が羽を休め、それを狙ってかハヤブサの幼鳥が飛び交いました。15:25にはようやくハジロミズナギドリが数羽飛翔し、最後は16:005羽で飛翔するトウゾクカモメが見られました。

9日、この日は飛行機コースのお客様と合流する日ですが、時間があったためまずはフェリーコースのお客様と市内の森林公園に向かいました。曇り空ながら時より青空が見えていました。到着するとハチクマが上空を飛んでいました。林内はそれほど鳥の動きはなかったですが、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラの姿があり、草地では数羽のアオジが採食していました。途中、ヤマゲラ、アカゲラの声はしましたが姿を見ることはできませんでした。1時間半ほど探鳥した後、千歳空港に向かい飛行機コースのお客様と合流後はガン類の渡りの中継地である宮島沼に向かいました。途中、昼食を兼ねて森林公園に立ち寄りましたが、たまたま強風だったため小鳥類の姿はほとんど見られませんでした。宮島沼に到着すると残念ながら雨が降り出したため、しばらくはバスを使って周辺を回ってみました。周辺の畑地には思ったほどマガンの姿はありませんでしたが、変わって愛想の良いオオタカの姿があり、地面を飛び跳ねながら餌を探す姿をしばらく楽しませてくれました。夕方に合わせて宮島沼に戻り、ここからは塒入り探鳥です。幸いこの頃には雨は止み、見事な虹と怪しげな黒い雲とのコントラストが見事でした。しばらくするとさまざまな方向からマガン、オオハクチョウ、コハクチョウが沼めがけて飛んできて見事な景観を作り出してくれました。たまたま沼にやってきていた観光客の皆さんからも歓声が上がるほどの見事な塒入りを1時間ほど眺めてこの日を締めくくりました。

10日、この日は塒から飛び立って行くマガンたちを観察するため04:45にホテルを出発しました。降っていた雨は止んでいて青空が見えていましたが、怪しげな黒い雲があちらこちらに見えていました。到着すると湖面から聞こえてくるマガンたちの声に驚かされます。とにかくひっきりなしに声がしていました。05:30頃からはいくつかの群れに分かれてマガンたちが湖面から飛び立って行き、声だけでなく羽音にも驚かされました。また湖面を見渡すとさまざまなカモ類が見られ、その中にシジュウカラガンの姿があり、チュウヒも飛んでいました。結局06:15まで観察し大迫力の塒立ちを堪能することができました。一旦朝食のためホテルに戻り、その後は苫小牧方面を目指しました。このツアー初となる海岸での探鳥では早くもセグロカモメ、ワシカモメの姿があり、海上にはハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、クロガモの姿もありました。その後訪れたウトナイ湖では昼食後に湖畔で探鳥しましたが、ここもガン類の渡りの中継地ということでマガンのほか、比較的多くのヒシクイの姿がありました。またカワセミが間近に止まり、湖面にはオカヨシガモの姿もありました。帰り間際には数羽のマガンが飛び立ったため目を向けると1羽のハクガンの姿があり、純白の体に黒い翼先が目立ちました。その後は今日の宿泊地である室蘭に向けて走り、やや時間がったことから翌日の探鳥地の岬を見ておくことにしました。ただこの日は風が強く岬はとても寒く感じ、翌日の探鳥がやや不安になりました。

11日、05:30にホテルを出て岬に向かいました。この日は早朝から青空が広がり、風も弱まっていたことからタカや小鳥たちの渡りに期待が持てました。現地に到着後は一旦各自朝食をとってから探鳥を開始しました。早朝はタカの渡りではなく小鳥たちが渡って行く光景に期待しましたが、この日は条件が良かったせいか大量の小鳥類が見られました。特に多かったのはヒガラとシジュウカラ、そしてメジロで2030羽の群れが鳴きながら飛んできては間近の木々に止まり、その後は海上に向かってどんどん飛び立っていきました。ほかにも少数ながらイカル、ホオジロ、カシラダカ、ヤマガラなどが見られ、比較的大きな群れで飛翔するアトリの群れも複数見られました。さらには可愛らしいシマエナガもやってきて楽しませてくれました。また対岸の林の木に止まるチゴハヤブサ、ハイタカも見られ10:00頃からはいよいよノスリが渡り始めました。晴天だったため高いところを飛翔する個体が多かったですが、流れるように渡って行くノスリの姿を見ながら、ハイタカ、ツミの姿も眺めることができました。眼下の岩には常時ハヤブサの姿があり、じっくりとその姿を見せてくれたほか、海上にはヒメウ、ウミウ、シノリガモの姿もありました。観察は11:00まで続け、その後は千歳空港に向けて進みました。時間があることから途中2箇所ほど探鳥を行い、キクイタダキ、ヒガラ、シロハラゴジュウカラ、ミサゴ、キセキレイなどが見られ、新たにキバシリ、シロハラ、アオバトなどが加わりました。千歳空港では飛行機コースのお客様とお別れして苫小牧フェリーターミナルに向かいました。到着後は一旦自由行動とし、各自夕食などの時間に使っていただき22:00に再集合。大洗行のフェリーに22:30に乗船しました。

12日、この日は早朝の海域が重要なため、日の出前の05:00頃から準備をして探鳥を開始しました。ただ、まだまだ薄暗いうちから目的のハジロミズナギドリが複数飛び、いきなりクライマックス状態でした。両サイドを見てみましたがかなりの数が飛んでいて、独特のふわっと舞い上がるような飛翔を見せてくれました。その後も20羽ほどの群れが着水状態から飛び立つ姿が見られたりと次々に出現し、その中に稀に観察されるカワリシロハラミズナギドリの白色型が一度だけですが見られました。ただこの状況は06:45には終わってしまい、その後はオオミズナギドリの姿を見ながら進みました。その後は06:45にトウゾクカモメ、07:25にはオナガガモの群れ、08:20にはスズガモ、10:00にはハヤブサ、12:40にはオオバンを観察して14:00に観察を終了しました。晴天の中でしたが風が冷たく感じる1日でした。

今回は久しぶりの企画として秋の北海道を巡りました。メインと考えていた宮島沼のガン類は総数23,000羽。お天気の回復が味方してくれ、夕方と早朝に見事な景観を作り出してくれました。またもう一つのメインのタカ類と小鳥類の渡りは、こちらもお天気が良い中での観察でした。タカ類の個体数が少なかったものの、見事な風景の中で流れるように渡るノスリを見ることができ、それを凌ぐ小鳥たちの渡りの風景が感動的でした。フェリーコースでも海上を渡る、エゾビタキ、センダイムシクイ、ハクセキレイ、キジバト、オオバンが見られ、鳥たちの渡りを違った角度から楽しむこともできました。観察種はトータル95種となかなかの成果でした。次回は春の北帰行の時期に宮島沼を訪れます。今期、春の渡り期には最大で68,000数ものマガンがこの沼で羽を休めました。圧倒されるような密集したガンたちの姿をまたご覧いただければと思います。この度はお疲れ様でした。

石田光史

マガンの塒入り 撮影:須崎明男様

マガンの塒入り 撮影:須崎明男様

 

ハジロミズナギドリ 撮影:須崎明男様

ハジロミズナギドリ 撮影:須崎明男様

 

オオタカ 撮影:須崎明男様

オオタカ 撮影:須崎明男様

 

ハイタカ 撮影:須崎明男様

ハイタカ 撮影:須崎明男様

 

オオハクチョウ 撮影:須崎明男様

オオハクチョウ 撮影:須崎明男様

 

亜種シロハラゴジュウカラ 撮影:須崎明男様

亜種シロハラゴジュウカラ 撮影:須崎明男様

 

ノスリ 撮影:須崎明男様

ノスリ 撮影:須崎明男様

 

ミサゴ 撮影:須崎明男様

ミサゴ 撮影:須崎明男様

 

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