【ツアー報告】ブッポウソウとチゴモズが棲む松之山の森(追加設定) 2017年6月7日~8日

(写真:ブッポウソウ 撮影:稲田貢様)

ブナ林が美しい北信越の森を巡り、温泉も楽しめる恒例の12日のバスツアー。今年はおかげさまで追加設定となり、私にとっては2度目の訪問となりました。豪雪地帯として知られる当地ですが、今年は残雪が少なく、ブナ林の日陰でも雪はほとんど見られませんでした。今回は前回同様に天気予報がはっきりしなかったため主な目的であるブッポウソウとチゴモズをまずは観察できるよう考え、前回と全く同じルートで進めていくことにしました。

 7日、この日の天気予報は曇り、そして夕方からは雨が降るだろうとのことでした。そのため早朝の東京駅前はどんよりとした曇り空で今にも雨が落ちてきそうでした。ほぼ予定通り08:00に東京駅前を出発して新潟県に向かいました。ただ予想外にも途中のサービスエリアを過ぎたあたりからは空は明るくなってきました。途中2度の休憩を挟み、予定通り11:30頃に到着しました。昼食には少々時間があったことからまずは観察機材の準備をしていただき林内を散策しました。林の中からはキビタキのテンポの良いさえずりが響き、驚いたことにアカショウビンの声が遠くから聞こえてきました。森に入ると今回も樹洞の中からアカゲラのヒナの声が聞えたため離れた場所から観察していると、親鳥が何回もやってきてヒナに餌を与えていました。ただお邪魔になってはいけないため短時間で切り上げ、その後は各自昼食としました。なんとか天気が持ちそうだったことから、その後はチゴモズを探しにポイントに向かいました。到着後はひとまず1時間ほど滞在して動きを見ましたが、この日はなぜか全く動きがなく残念な結果となってしまいました。ただ水田ではオシドリの姿があり、付近ではサシバが盛んに飛び、時には杉の大木に止まってその姿をじっくりと見せてくれました。また付近ではノジコの姿が頻繁に見られ「源平ツツジ、白ツツジ」と聞きなされる澄んだ声で歌っていました。時間が押してきたことからもう一つの目的であるブッポウソウに狙いを切り替えて移動することにしました。現地に到着するとここでも遠くからアカショウビンの声が響き、上空を「ヒリリ、ヒリリ」と鳴きながらサンショウクイが飛んで行きました。ひとまず1時間ほど待ってみることにしましたが、この日はなかなかブッポウソウは現れず17:00頃からは霧雨が降ってきました。ただようやく眼下にブッポウソウの姿が見られたほか、独特の飛翔をする姿が見られ、天気が悪い中ではありましたが、数回に渡ってブッポウソウの姿を見ることができました。ただ夜には天候がさえあに悪化してしまい、強風が吹き荒れていました。

 8日、この日は05:00出発で早朝探鳥に出かけるため04:45頃に外に出てみましたが、予想に反して雨は上がり地面は乾いていました。天気予報は曇りとのことでしたが、遠くの山々がはっきりと見え、空は幾分明るくなってきているような感じでした。この日はブッポウソウはもちろん、アカショウビンに期待しての出発です。到着するとアカショウビンの声はするもののやはり距離は長く、しばらく待ってみることにしました。するとやや声が近くなったような気がしたことから見に行って見ると、針葉樹の中から間近に声が聞えましたが残念ながら止まっている姿を見ることはできず、飛び去る姿を見るに留まりました。ただ間近にブッポウソウの姿があり、たまたま陽ざしがあったことから光沢ある姿がより輝いて見え、非常に良い条件で長時間観察する幸運がありました。その後は朝食のため一旦宿に戻り、この日はアカショウビンの動きが良かったことから再度出発してもう一度アカショウビンを狙ってみることにしました。わずかな時間ながらポイントを見回してみましたがアカショウビンの姿を見ることはできず、その後は再度チゴモズの姿を探しに向いました。ここでも1時間ほど動きを見てみることにしましたが、前日同様に動きは感じられませんでした。ただオオアカゲラが見られたり、相変わらずノジコの姿を楽しむことができ、対岸の杉林からはサンコウチョウの軽快なさえずりが聞え、クロツグミ、ホトトギス、ノジコ、オオルリのさえずりも響いていました。間もなく1時間経とうかという頃になってようやくチゴモズが現れてまずは眼下の枯れ木に止まりました。わずかな時間で飛び去ってしまいましたが、その後は杉の高木のてっぺんにしばらくの間止まってくれたため望遠鏡を使ってじっくり観察することができました。距離があり、光線状態も良くなかったのが残念でしたが、今回もその姿を見ることができ幸運でした。その後は一旦各自昼食とし、最後はこのツアーで唯一残雪があるブナ林に向かいました。渓流沿いの小道は残雪の影響から冷たい風が流れてきてほかの場所とはかなり気温が違うような気がしました。やや霧がかかる状況の中でしたが、早速梢でさえずるオオルリの姿があり、望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。周辺には複数のオオルリが生息しているようで、メス個体も見ることができました。オオルリの美しい姿を堪能した後は、少々時間があったことからもう一か所行ってみることにしましたが、残念ながらここで雨が本降りになってしまったことから探鳥を終了しました。

 今回はおかげさまで追加設定となり、私にとっては現地で2回目の探鳥でした。前回同様はっきりしない天気の中でしたが、観察を中断しなくてはならないほどの悪天候にならなかったことは幸いでした。主な目的だったブッポウソウは非常に良い条件で観察することができましたが、チゴモズは距離があり思ったほどの条件ではなく残念でした。ただ、当地でこれらの希少種がわずかながらであっても継続的に観察ができたことには少々ほっとしました。減少傾向にある種だけに今後もずっと当地で観察できることを祈りたいものです。この度はお疲れ様でした。

石田光史

チゴモズ 撮影:稲田貢様

 

ブッポウソウ 撮影:鶴田学様

 

オオルリ 撮影:K・Y様

 

オオアカゲラ 撮影:中村篤様

 

サンショウクイ 撮影:稲田貢様

 

ニュウナイスズメ 撮影:鶴田学様

 

ブッポウソウ 撮影:K・Y様

 

サシバ 撮影:中村篤様

 

サシバ 撮影:稲田貢様

 

キセキレイ 撮影:鶴田学様

 

ノジコ 撮影:K・Y様

 

ブッポウソウ 撮影:中村篤様

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