【ツアー報告】出水・諌早・有明海 冬の九州縦断 2023年1月21日~23日

(写真:カササギ 撮影:冨田俊晴様)

21日、使用機の到着遅れで羽田空港を出発する便の離陸が30分以上遅れたものの、鹿児島空港にはあまり遅れずに到着し、ここで鹿児島集合のお客様とも合流して、九州縦断ツアーがスタートを切った。まずは水鳥の観察地へ向かう。到着後、眼下の水辺に目をやると、対岸の堤防にはクロツラヘラサギがずらりと並び、水面にカモ類が見られたほか、タシギやバンも見られた。ここでの目標のひとつが人気の高いツリスガラだ。今日は風も弱く、条件的には恵まれた天候であったものの、残念ながら鳴き声も聞こえず、その姿を確認することが出来なかった。次のポイントでは、越冬中のツバメ、イワツバメが舞い飛ぶなか、畑を耕すトラクターを追うように動くハクセキレイの群れや、ニュウナイスズメを観察して出水へと向かう。出水のツル観察センターが近づくと、そこかしこの畑にナベヅルやマナヅルの姿が認められるようになる。1630分過ぎにツル観察センターに到着。今期の目玉であるソデグロヅルは、事前に得た情報で東干拓にいるとのことだったので、その姿を確認しようと急ぐと、すぐにその姿を確認することが出来たが、干拓地の奥にいるため、距離は遠い。ソデグロヅルを確認した後、ほかのツルたちを観察していると、私たちの前をもう1羽のソデグロヅルがゆっくりと飛んでいった。今期2羽のソデグロヅルが飛来していることは知っていたが、その2羽を同時に観察する幸運に初日から恵まれた。

22日、早朝にホテルを発ち、干拓に向かうと、ブラインド前にナベヅル、マナヅルの大群が集まっており、一番奥にはヒシクイ(オオヒシクイ)とマガンの姿があった。そして、昨日確認した2羽のソデグロヅル成鳥も昨日とほぼ同じ東干拓の一番奥の遠いところに、その姿を認められた。観察をしていると、ソデグロヅルがこちらに向かって飛んできて、全員の目前をゆったりと優雅に飛翔し、西方へ飛び去っていった。ソデグロヅルは朝に東干拓を翔び立つと、日中は離れた田んぼで過ごすことが多く、なかなかその姿を探しづらいと事前に聞いていたので、朝の飛び立ちを見ることが出来たのは幸運であった。その後、出水大橋を渡って西干拓まで移動したところで、ミヤマガラスに混じるコクマルガラスを観察する。人気の高い白黒模様の個体もゆっくりと観察することができた。ここまでソデグロヅルを始め、順調に観察できているが、カナダヅルだけがまだしっかりと観察できていなかったが、ツル観察センター前に集まる群れの中にようやくその姿を見つけて、胸をなでおろした。出水での観察を終えた後はフェリーに乗船するため、熊本港へと向かう。移動中の車中からは見える空の雲が次第に厚くなりはじめ、ついに水滴がバスのフロントガラスにも分かるようになってきた。それでも、なんとか持ちこたえてくれているうちに熊本港発のフェリーに乗り込み出航する。すぐにある干拓地に群れているオオハクチョウやカモ類を眺めていると、洋上をカツオドリが飛び始めた。そのカツオドリを追っていると、沖に向かって細長く延びる堤防上に数百羽のカツオドリが羽を休めていた。黒い身体に白いおなかが目立つその姿はどことなくペンギンのように見え、ユーモラスである。しかしここで羽を休める個体が多かったからか、航路上で観察出来た数は、やや少なめであったが、とても多くのカンムリカイツブリを観察することが出来た。しかし、危惧していた空模様は悪くなるばかりで到着するころには雨も本格的に降り始めてしまった。諫早中央干拓地に到着してからも雨の勢いが弱まる気配を見せなかったので、干拓地内をゆっくりとバスでまわりながら、チュウヒやノスリ、畑地に群れるタゲリなどを観察していると、日没が近づくにつれ、次々と大きなカモの群れが上空を舞うようになった。数万羽のトモエガモが居るとのことで、その飛び立ちに見送られながら、雨の諫早干拓地を後にした。

23日、いよいよ九州縦断ツアーも最終日。今朝は8時出発と余裕がある。昨日の午後は降り続いていた雨も止んでくれて朝から晴天。青空を眺めつつ、シギ・チドリの一大渡来地である干潟へ向かう。途中、再びツリスガラの姿を探すも残念ながら見つからなかったが、ヒドリガモの群れにアメリカヒドリを確認することが出来た。今日の干潟は、大潮1052分満潮。駐車場に到着してトイレ休憩後、干潟を一望できる防波堤の上に立つと、干潟に白く無数の点となって鳥が散らばっている。ハマシギ、ダイゼン、ダイシャクシギ、ズグロカモメ、ツクシガモ等、冬の東与賀を代表する鳥達だ。アカアシシギやコアオアシシギも見つかり、そこに3羽のソリハシセイタカシギの姿も見つけることが出来た。潮が高くなってくると、ハマシギなどの小さな種は居場所をなくして飛び立って、浅い水にズグロカモメの群れが陣取っていたが、急に群れが騒々しく一斉に飛びあがり、そこに黒い影が飛び込んできた。猛禽類かと双眼鏡を向けると、ハシボソガラスであったが、足元には犠牲となったズグロカモメが押さえ込まれていた。カラスといえどハヤブサのような狩りをするのかと驚いた瞬間であった。いよいよ潮が上がってきて、干潟が姿を消したので、駐車場に戻って昼食を食べていると、佐賀を代表する鳥カササギが電柱にやって来たほか、隣接する公園にアオバトが現れて、今回の九州縦断ツアーをしめくくってくれた。

九州三大探鳥地と言われる出水、諫早干拓、東与賀干潟を訪れるこのツアー、今回は出水のソデグログル、東与賀干潟のソリハシセイタカシギのように、の九州には毎冬のように普段は見られないような珍しい鳥が渡来します。そして、こういった珍鳥ばかりでなく、九州ならではのミヤマガラスの大群、コクマルガラス、ツクシガモ、ズグロカモメ、カササギなども皆様の印象に残られたのではないかと思います。ご参加の皆さま、大変お疲れさまでした。そして、またのご参加をお待ちしております。

田仲謙介

クロヅル 撮影:冨田俊晴様

 

カササギ 撮影:佐藤眞弓様

 

コクマルガラス 撮影:冨田俊晴様

 

ソリハシセイタカシギ 撮影:佐藤眞弓様

 

ソリハシセイタカシギ 撮影:冨田俊晴様

 

ニュウナイスズメ 撮影:佐藤眞弓様

 

マナヅル 撮影:冨田俊晴様

 

コクマルガラス 撮影:佐藤眞弓様

 

カツオドリ 撮影:冨田俊晴様

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