【ツアー報告】東シナ海第二の秘島 甑島(こしきしま) 2018年4月22日~25日
(写真:アカガシラサギ 撮影:須崎明男様)
4月22日、羽田空港、伊丹空港、鹿児島空港からのみなさまと合流し、専用バスで鹿児島県薩摩川内市の港へ行く。15:10 「高速船 甑島」は出港。甑島商船株式会社のフェリーであり、総トン数199トン、定員200人、九州商船といちき串木野市及び薩摩川内市が出資する第三セクターである。海は荒れていたが、元気な人たちがデッキでオオミズナギドリなどを見る。16:30に着岸。下甑島は鹿児島県いちき串木野市の沖合約45km、東シナ海の甑島列島南部にあり、鹿児島県薩摩川内市に属し、面積66.1k㎡(山手線の内側と同じ)、人口約2,780人。急いでホテルに荷物を置いてホテル周辺を歩き、カラスバト、ヤマガラ、ヒヨドリなどを観察する。甑島での宿泊先は、甑島近海で獲れた新鮮な魚介類をふんだんに使った料理が素晴らしい落ち着いたホテルである。
4月23日、朝、05:55。ホテルの周りで鳥を見る。道路を歩くと、あちこちでカラスバトやヤブサメが囀る。朝食後、現地ガイドと合流。彼は毎日、仕事の合間に鳥をチェックしてくれるのでリアルタイムの情報が非常に助かる。ところが、今年の春季はどこの島も渡り鳥が少なく、甑島にもほとんど入ってきていないという。専用バスでポイントへ行く。ここは唯一、耕作地が広がっていて、いろんな鳥が入ってくる場所である。ツバメチドリの綺麗な夏羽が5羽いて、みなさんでじっくりと観察、撮影する。さらに、ムネアカタヒバリ、ツメナガセキレイ、ハクセキレイの亜種タイワンハクセキレイ、ホオアカ、コホオアカなどを観察、撮影するが、いずれも1~2羽で他の渡り鳥も殆ど見られないのだ。この20年間毎年、いろいろな島へ行って渡り鳥を見ているが、種類数も個体数もこんなに少ない年は経験が無く、これが今年だけのことなのか、世界規模で渡り鳥が減少してしまったのか心配である。昼食後、林道を歩きクロツグを観察、撮影。さらに、海へ行きカツオドリ、ミサゴなどを観察、撮影する。ここの沖合にはフランスの皇帝の横顔に似ていることから「ナポレオン岩」と呼ばれている高さ127mの奇岩があり、カツオドリの繁殖地となっているのだ。再び、移動する。数名づつに分かれてそれぞれ鳥を探すがこれといった成果がなく観察終了。宿には大浴場に露天風呂があり、一つは照葉樹林の山が迫り、もう一つは東シナ海が展望できるのである。
4月24日、朝の小雨が朝食後から本降りとなる。雨の中、ポイントへ行くが、鳥が抜けてしまったようで見られない。さらに横殴りの風雨の中、移動する。断崖で繁殖しているミサゴの巣を見るが風雨で良く見えない。雨が激しいので、薩摩川内市鹿島支所内にある化石の展示スペースで化石を見ながら昼食にしようと鹿島支所へ挨拶に行く。甑島には約8000万年前の白亜紀後期の地層があり、国内初でアジア4例目の角竜ケトラトプス類の歯根や肉食恐竜の歯と肋骨など多くの化石が発見されているのだ。化石を見ながらと思っていたら鹿島支所の方々はとても親切で、なんと会議室にテーブルと椅子を用意してくれ、予想外の昼食会場となったのである。鹿島支所のみなさま、ありがとうございました。その後、風雨はさらに激しくなり、ホテルに戻る人と雨の中を車内から観察する人に分かれ、林道や耕作地へ行くが鳥影は無い。遅い午後、再びポイントへ行くと50羽以上のツバメの群れにコシアカツバメが混じっていた。やっと渡りを感じた気がして、明日への希望が湧く。しかし、風雨は激しく、早めに終了する。
4月25日、朝、05:50、ホテル周辺を歩く。ビンズイ、メジロ、ヤマガラなどを見ているとカラスバトが上空をガラガラガラ・・・・と鳴きながら飛んでいく。朝食後、ポイントへ行く。昨夜からの風雨で何かいい鳥が入っていないかと期待したが、昨日、50羽以上いたツバメは抜けてしまい鳥影が薄い。耕作地の農道を歩くと、アカガシラサギの綺麗な夏羽が低木にとまっていてみなさんでじっくりと堪能する。さらに、ムネアカタヒバリ2羽、ツメナガセキレイの亜種で真っ黄色なツメナガセキレイ2羽、マミジロツメナガセキレイ2羽、シベリアツメナガセキレイ1羽が一緒に餌を採っているので、みなさんとじっくり観察、撮影する。そして、昼食後に弓折牧場や林道で観察、撮影して終了。14:35 「フェリー ニューこしき」総トン数940トン、定員350人は出港。デッキでオオミズナギドリやカツオドリを観察して、16:15に着岸。専用バスで鹿児島空港へと向かったのである。最後にやっと島らしい鳥たちに出会えた下甑島でした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁