【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類(追加設定) 2018年12月11日
(写真:チュウヒ 撮影:宅間保隆様)
この冬もおかげさまで追加設定になったことから、5日に引き続き最盛期を迎えた冬の猛禽類たちを狙ったマイクロバス使用の少人数ツアーに出かけることになりました。探鳥地のほとんどが農道などの細い道のため、小型のマイクロバスが大活躍です。今回は数日前の天気予報は芳しくなかったですが、前日の天気予報では晴れマークが並び、雨は夜からとの予報だったことから助かりました。
11日、薄曇りの東京駅前をほぼ予定通り08:00に出発してまずは茨城県方面に向かいました。移動中のバス車内ではこの日に観察できそうな種についての解説を行い、あらかじめ予習をしていただきました。バスは順調に進み2時間ほどで現地に到着し、到着後はまず各自観察機材の準備をしていただき、その後は利根川に沿うようにバスを走らせながら主にタカ類を探してみました。最初に訪れた場所ではひとまずバスを降りていただき、干拓地に降りているタゲリや川に浮いているカンムリカイツブリ、また杭に止まっているチョウゲンボウが見られました。堤防を上がって河川敷のヨシ原を眺めてみると、やや風が吹いている状況だったためか複数のチュウヒが独特のⅤ字を描きながらゆらゆらと飛び、ふと見ると2羽のノスリが木に止まっていました。またハヤブサとチュウヒが空中で絡まるように飛び、最後は魚を足に持ったチュウヒが我々の頭上を通過して行きました。その後はバスに乗っていただき利根川沿いをさらに走りながら探鳥しました。途中の干拓地では地面に降りているチュウヒを望遠鏡でじっくり観察することができ、川辺では内陸にはめったに入ってはこないシロカモメが電柱に止まっていたため驚かされました。その後は時間がお昼に近づいたことから一旦時間をとって各自昼食の時間としました。ただここでもチュウヒが飛び、高木にはオオタカの姿がありました。昼食後は再びタカ類のポイントをめぐりながらバスを走らせ、複数のノスリを車窓から眺めながら毎年、亜種オオヒシクイが飛来するポイントに立ち寄りました。この日は残念ながら堤防から離れた場所の地上に群れていましたが、比較的行動的で道を人が歩くと首を上げて警戒する姿勢を見せてくれました。またハヤブサの幼鳥、川では無数のオナガガモ、コガモに混じってミコアイサのメス、ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリの姿がありました。その後は再び水田をめぐってみましたが、ある場所では10羽ほどのタシギが群れ、ほかにもタカブシギ、エリマキシギがいたことから望遠鏡を使ってじっくりと観察しました。するとたまたま間近の電線にムクドリが群れてきたことからホシムクドリを探しましたが残念ながら見つかりませんでした。ただ、移動しようかと再び電線を見てみると、驚いたことに1羽のカラムクドリがポツンと止まっていたため比較的ゆっくりと観察することができました。その後はやや時間があったことからほかのムクドリの群れも見てみましたがホシムクドリの姿はなく、水田でタゲリ、イソシギ、セグロセキレイなどを見てからタカ類の塒入りポイントに移動しました。時間的にはまだ早かったのですが、この日は夕方から急速に雲が厚くなりだし、かなり薄暗くなってきたことから塒入りは早いと判断してのことでした。予想通り、まだ15:30だというのに複数のチュウヒが塒に戻ってきていて、やや風が吹いていたことからゆらゆらと飛翔していました。見ていると次々にチュウヒがやってきては舞い、中には枯れ木に止まる個体もいました。そしてこの日はやや高い位置からハイイロチュウヒのメスがやってきて、しばらくの間、我々の目の前を飛んでくれたためその特徴をじっくりと観察することができました。そしていつの間にか遠くの枯れ木に2羽のコチョウゲンボウのオスが並んでいました。ただ16:30の観察終了に合わせるように冷たい雨が降りだし、探鳥を終了しました。
毎冬恒例となっている日帰りバスツアー。今年もおかげさまで追加設定となりました。雨の降りだしが心配な中でしたが、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、オオタカ、ミサゴ、ノスリと出揃ってくれ、人気のタゲリのほか、タシギ、タカブシギ、エリマキシギ、そして想定外のカラムクドリが登場してくれました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史