【ツアー報告】春の水郷巡り 夏羽のシギを探そう! 2019年4月24日
(写真:ツルシギ 撮影:鶴田美津子様)
春の渡りの季節を迎え、田植えが進む水田でもこの時期、渡り中のシギ類が見られるようになってきます。それに合わせて毎春企画しているのが夏羽のシギ類を探す日帰りツアーです。道が細い農道沿いに走りながら探鳥するため、ほぼどんな道でも走れる小型マイクロバスを使用しているのが特徴です。今回は前日まで春の陽気の日が続いていましたが、出発当日は残念ながら次第に雨が降ってくるという予報になってしまいました。
24日、雨は午後からとの予報で早朝の東京駅前は雨はなく、どんよりと曇っていました。気温も高くなるとの予報でしたが、風があったことから蒸し暑さも感じませんでした。予定よりもやや早くご集合いただいたため5分ほど早く東京駅前を出発しました。バス車内ではこの日見られる可能性があるシギチドリ類の識別ポイントなどを予習しながら進め、途中休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。到着後は駐車場内で観察機材の準備をしていただき、その後は数日前にアカツクシガモが見られたとのことで、現地の水田を走り回りながら探してみました。ただ残念ながらその姿はなく、霞ヶ浦では数羽のカンムリカイツブリの姿が見られ、水田では餌を探すタシギの姿がありました。その後は霧雨模様になる中、3羽で佇むツルシギの姿があり2羽は飛び立ってしまったものの、1羽がじっとしていたことから少しずつ近寄って観察することができました。完全な夏羽ではありませんでしたが一部が黒くなってきている個体でした。その後は各自昼食をとっていただいてから一旦、千葉県方面に向いましたが、駐車場内から水田を見ると4羽のチュウシャクシギが畦に並んでいました。水田内の農道を進んでいくと、20羽ほどで群れているチュシャクシギの姿があり、距離が近かったことからバス車内から観察することにしました。よく見るとその中にオオソリハシシギの姿があり、電車の音に驚いて飛び立ったりして動きがあるシーンも見ることができました。ただこの頃、ちょうど雨が激しくなったためバスを降りて観察することは断念しました。その後、雨が上がり曇り空の中、トイレ休憩時にはアカハラの姿があり、戻る途中では水田に佇むオシドリのペア、さらには4羽で歩きながら餌を探すムナグロの姿がありました。本来であれば数百羽の群れが見られてもいいのですが、なぜかムナグロの数が少なく、この日もこの4羽と出会っただけでした。その後は茨城県まで戻り、水田で餌を探す5羽のセイタカシギ、タカブシギ、タシギ、別の水田では10羽ほどで群れるタカブシギに混じる2羽のエリマキシギが見られましたが、警戒心が強い個体のようでじっくりと見ることができませんでした。そして最後に訪れた水田では1羽で餌を探しているクサシギを見ることができ、さらに進むとレンコン畑に群れる10羽ほどのタカブシギの姿がありましたが、よく見てみるとその中に1羽のサルハマシギの姿がありました。顏や胸の一部に夏羽の赤色が見え、やや下に曲がった細い嘴もよく見ることができ、最後は寝てしまいましたが、あまり淡水域で見ることがないので意外な出会いとなりました。
この日は最高気温が22℃とのことで蒸し暑さを心配していましたが、風があったせいか逆に肌寒く感じる1日でした。一時、雨に降られてしまいましたが、ムナグロ、チュシャクシギ、セイタカシギ、オオソリハシシギ、エリマキシギ、ツルシギ、クサシギ、タカブシギ、そしてサルハマシギに出会う幸運がありました。ただムナグロの群れが見られず、キョウジョシギ、ハマシギといった定番種に出会えないなど、例年に比べてシギ類の数が少ない1日でした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史