【ツアー報告】日本最大のガンの越冬地 伊豆沼と蕪栗沼・化女沼 2021年11月13日~14日

(写真:カリガネ 撮影:坂東俊輝様)

日本のバードウォッチャーにとって秋といえばやはり伊豆沼を外すことはできないでしょう。どこか懐かしい日本の原風景の中をめぐるような週末利用の2日間のツアーです。今回訪れる伊豆沼・蕪栗沼周辺は日本最大のガン類の越冬地として知られ、今期も数万羽のガンたちが羽を休めています。伊豆沼の特長はなんと言っても5種類ものガン類を一気に見ることができることで、今期も、マガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネといった5種類のガンたちが渡来しています。ハクガンだけは定期越冬しているわけではないため年によって見られたり見られなかったり、そしてその渡来数もさまざまなため出会うことがなかなか難しいのですが、ツアーではこれら5種のガン類を見ることはもちろん、早朝に塒から飛び立って行く塒立ち、そして夕景の中、続々と塒に戻ってくるガンたちを観察する塒入り観察の大イベントもあります。ただし、探鳥地のほとんどが狭い道な上、駐車スペースが限られていることから我々のツアーではマイクロバスを使用し15名様限定としています。これによりできる限りガンに近づくことができ、歩く距離も軽減され、広大な畑地の隅々まで探鳥可能で、警戒心の強いガン類に近づく手段として車内からの観察といった手法も可能になりました。そして今回は2日間共に穏やかな晴天の予報が出る中で出発となりました。

13日、早朝から快晴の東京駅を予定通り出発して新幹線でくりこま高原駅を目指しました。到着後はやや雲が出ていて風が冷たい印象はありましたがひとまずホテルまで向かい、ロビーをお借りして観察機材準備を行ってから探鳥に出発しました。まずは少々ハクガンに期待して出発しましたが、どこに行くか悩みました。ただそこは直感で行ってみることにしました。ここには毎年日中にマガンの大群が地上採食している場所があり、この日もかなりの数のマガンが群れていて、付近にはオオハクチョウの姿も見られました。ひとまずバス車内から見てみるとマガンの群れに混じる真っ白いハクガンの姿があり驚きました。飛ばさないよう距離をとってバスを降り、望遠鏡で見てみると成鳥4羽、幼鳥1羽の5羽のハクガンが地上採食していました。農耕車の接近に伴い、一旦飛び立ってしまいましたがおかげで飛翔する姿も見ることができ、その後は再び地上に降りたことから、今度はバスで接近して車内から観察しました。見ているとやや離れた場所にさらに1羽の幼鳥の姿があり、いきなり計6羽のハクガンを見る幸運がありました。その後は一旦トイレ休憩をとり農耕地を走りながらカリガネを探してみました。通常、なかなか見ることができないカリガネは一昔前まで、まず見ることができない珍しいガン類の代表でしたが、ここ10年ほどで一気に渡来数が増え、今では運が良ければ50羽単位の群れを見ることも珍しくありません。過去、さまざまなエリアを走って探してきましたが、どうやらどこにでもいるわけではなく、好きな場所があるようです。この日は1時間半ほどの間にいくつかの群れを見ることができ、時にはマガンの群れに混じる30羽ほどの群れを見ることもできました。額の白色の面積が大きく目立ち、マガンとは嘴の色も異なり赤みが強いのも特徴です。また双眼鏡や望遠鏡で見ると金色のアイリングが輝いて見えます。そして全体的にかわいらしい表情に見ることもマガンと異なります。観察後は再びトイレに寄って防寒装備を整えていただいてから塒入り観察を行うことにしました。マイクロバス使用のためポイントのすぐ下まで行くことができ、到着後は堤防上に上がるだけ観察を開始することができました。この日は夕方にかけて雲が厚くなり、残念ながら見事な夕焼けを見ることができませんでしたが、まずはヒシクイが飛来し、その後は続々とシジュウカラガンが飛んできては着水したため見てみると湖面がほぼシジュウカラガンで埋め尽くされていて驚きでした。その後は薄暗くなる頃まで続々とマガンの大群が押し寄せ、圧倒されるような風景を眺めながら17:00に観察を終了してホテルに戻りました。

14日、この日は早朝の塒立ちを観察するためホテルを出発しました。ただこの日は天気予報は良かったものの、すでに霧が立ち込めていてどうなることやらといった感じでした。現地に到着後は各自準備を進めましたがこの日は日の出時間の06:15になっても視界が開けることはなく、日の出から30分ほど過ぎた頃からようやくガンたちの塒立ちが始まり、一斉にとはいかないものの霧の中から次々に飛び立って行く様子を観察しました。観察後は一旦ホテルに戻り、朝食をいただいてから再度出発して化女沼に向かいました。到着するとベニマシコの声が聞こえ、しっかりとはいかないもののオス、メスが草の実を食べている姿を見ることができました。またジョウビタキ、そして湖面にはホシハジロ、ヒドリガモ、ヨシガモ、キンクロハジロ、コガモなどの姿があり、上空をマガン、オオハクチョウが飛んでいました。その後はシジュウカラガンの群れを探すことにしました。現地では広大な畑地をめぐりましたが、幸いなことにいきなり10羽ほどのシジュウカラガンの小群に出会い、次に訪れた場所ではマガンと共に地上採食している100羽ほどのシジュウカラガンを見ることができ、かなり良い距離感から観察することができました。その後は一旦各自昼食の時間とし、昼食後はヒシクイのポイントに向かいました。逆光に輝くススキを見ながら歩くとホオジロの姿があり、現地では群れるヒシクイを間近に堪能することができました。帰りに湖面を見るとチュウヒが間近を低く飛び、ヨシガモ、カワアイサの姿があり、次々に飛んでくるマガン、ヒシクイ、オオハクチョウが見られ、珍しくオオタカ幼鳥がしばらくの間、我々の頭上を旋回飛翔してくれました。さらに歩くとどこからともなくマガンの群れが飛んできたためよく見ると、その中にハクガンの姿があったことから付近の地上にいた群れを見てみました。すると数百羽はいるだろうと思われる大きなマガンの群れの中にたった1羽混じるハクガン幼鳥を見つけることができ、しばらくの間、観察することができました。その後は昨日、バッチリ撮影ができなかったカリガネを再び探してみることにしました。するとこの日もあっさりと群れを見つけることができ、この日はそれほど警戒していなかったためバスを降りて少しずつ距離をつめながら観察、撮影してから再び塒入り観察に向かいました。この日は前日に比べると西の空の雲はかなり少なく期待できそうな状況で早くも湖面には次々にヒシクイがやってきていて、チュウヒ、ハイイロチュウヒが飛んでいました。そして西の空が赤く焼けてくる頃にはシジュウカラガンの群れが次々に飛来し、薄暗くなってきた頃からは東側から大きな群れがいくつもいくつもやってきて我々の頭上を越えていきました。結局この日は前日よりもかなり多くのガンが着水したようで、最後は湖面を覆い尽くすほどのガンたちを見ながら17:00まで観察してツアーを締めくくりました。

2日間を通して傘を出すようなことがなく、しかも日中は春のような陽気の中で探鳥できたことは何より幸いでした。早朝の霧は残念でしたが2日間共にマガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネの5種類のガンたちに出会うことができ、夕方の塒入りの迫力も存分に楽しむことができました。またコチョウゲンボウ、チョウゲンボウ、オオタカ、ノスリ、チュウヒ、ハイイロチュウヒといった猛禽類も見られ印象的でした。一方、ここ数年のカリガネ、シジュウカラガンの急激な増加は見やすくなった反面、やや心配な部分もあります。いずれにしても彼らが安心して越冬できる環境が今後も維持されることを祈るばかりです。今後も探鳥地の状況を考慮し、小型車を使って隅々まで探鳥可能なよう企画してまいります。ぜひまた伊豆沼に晩秋の風景を見にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ハクガン 撮影:中谷博之様

 

マガン 撮影:芝田恵美様

 

塒入り風景 撮影:村瀬隆司様

 

オオタカ 撮影:坂東俊輝様

 

カリガネ 撮影:中谷博之様

 

早朝の風景 撮影:芝田恵美様

 

オオタカ 撮影:村瀬隆司様

 

ハクガン 撮影:坂東俊輝様

 

シジュウカラガン 撮影:中谷博之様

 

マガン 撮影:芝田恵美様

 

シジュウカラガン 撮影:村瀬隆司様

 

チュウヒ 撮影:坂東俊輝様

 

ヒシクイ 撮影:中谷博之様

 

塒入り風景 撮影:芝田恵美様

 

ハクガン 撮影:村瀬隆司様

 

ハクガン 撮影:坂東俊輝様

 

マガン 撮影:中谷博之様

 

マガン 撮影:坂東俊輝様

 

塒入り風景 撮影:中谷博之様

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