【ツアー報告】西日本屈指の渡り鳥の中継地 対馬 2022年5月5日~7日

(写真:コホオアカ 撮影:中澤均様)

5日、対馬空港に到着後は、毎年お世話になっている方と相談した通りに、最初はホオジロ類がいるという場所へと向かう。しかし、例年ホオジロ類が観られるポイントで見られたのは若いシベリアアオジとコホオアカが1羽だけで何とももの寂しい。周辺を歩くと、草やぶからアカガシラサギが飛び立つが、降りたところがちょうど木の陰になってしまい、観察することができない。そこで再度、連絡を取るとここ数日はホオジロ類の群れが動いて、少し離れた畑地に群れているとのことであった。バスで移動してみると、教えてもらった畑地では、キマユホオジロ、コホオアカ、シベリアアオジなどが20羽ほどで採餌しており、これらをゆっくりと観察することができた。次いで、本日のお昼に観察されたヨーロッパビンズイを探すために移動するが、車に驚いて飛び立った後は行方不明になってしまっているようで、私たちが訪れた時も残念ながら観察することはできなかった。

 6日、畑地から観察を開始すると、鮮やかな黄色がよく目立つマミジロツメナガセキレイがタイワンハクセキレイと共に畑地を動きまわっていた。灌木の茂みからカラフトムジセッカと思われる鳴き声が聞こえてきたので、少し粘って探してみるが、周辺の茂みで動く姿が見つかるのはオオヨシキリばかりで、目的の声の主はすでに移動してしまったようであった。お昼までの時間を使って、空港にも近い場所で観察をすると、民家そばにマミジロキビタキの姿があったが、全員が観察する前に背後の籔に飛び込んでしまった。午後からは、本日の晴天で多くのハチクマが渡っているという峠へと向かう。着いて間も無くハチクマの姿が見つかるが、かなり高いところを渡っているようだ。その後、目が慣れてくると次々と姿が見つかり、多いものでは数十羽が同じ視界に入ってくる。ハチクマの渡りを観察した後は畑地を歩くが、どちらも期待に反して鳥の姿が少ない。そこで、対馬に渡り鳥が入ってくる玄関口ともなっている場所へと移動して歩くと、遊歩道のそばでセンダイムシクイが数多く動きまわっている。聴こえてくる声もかなり多く、相当数のセンダイムシクイが渡ってきたようであった。

 7日、今朝はスタート直後に、昨日の夕方に訪れた場所でムギマキが出現したという話が入り、予定を変更して向かった。すでに観察している人に聞いたところ、現われはするものの、すぐに茂みに飛び込んでしまうため、しっかりと観察するのは難しいらしい。しばらく待っていると、ようやく姿を現してくれたが、この時もわずかな時間現れただけで、皆でしっかりと観察することができなかったのは心惜しい出会いとなってしまった。

 私たちが今回訪れた3日間は毎日が申し分の無い晴天であったため、それまでに観察されていた渡り鳥の多くも渡ってしまい、ちょうど「端境期」となってしまっていたようでしたが、ホオジロ類をはじめとする、この時期ならではの渡り鳥たちと出会うことができました。春の渡りはこのように直前の天候などによってダイナミックに鳥が変わるのが面白さであり、醍醐味でもあります。きっと来春には対馬の同じ場所を訪れたとしても、また違う鳥たちが出迎えてくれることでしょう。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。

 田仲謙介

ホオジロハクセキレイ 撮影:tayan様

 

キマユホオジロ 撮影:中澤均様

 

センダイムシクイ 撮影:tayan様

 

アマサギ 撮影:中澤均様

 

コホオアカ 撮影:tayan様

 

ホオジロハクセキレイ 撮影:中澤均様

 

コサメビタキ 撮影:tayan様

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