【ツアー報告】渡良瀬遊水池と城沼・多々良沼(追加設定)2022年12月20日

(写真:コクマルガラス 撮影:上田恵様)

最近は狙いの種を決めてタイトルでうたうタイプのツアーが人気ですが、今回は毎冬恒例となっている渡良瀬遊水地を中心に、周辺の湖沼をめぐるツアーです。東京から比較的近い場所に探鳥地あること、また探鳥地間がわずかな距離であることから日帰りバスツアーとしては数多くの探鳥地をめぐれるため、毎回観察種が多いこともこのツアーの特長です。多々良沼はハクチョウ類の越冬地として知られカモ類が多いこともあってそれらを狙う猛禽類が多く、渡良瀬遊水地ではチュウヒの塒入り風景が見られるほか、冬の小鳥類もさまざま見られます。ただ、冬の渡良瀬遊水地周辺は大変に風が強い探鳥地としても知られていて、特に夕方は寒さが厳しくなる傾向があります。ただこの日は気温は低いながらも終日快晴予報で風もなく、穏やかな1日になるとの予報の中で出発することができました。

20日、空気は冷たかったものの早朝から快晴の東京駅前に予定通りご集合いただき、健康チェックシートを回収後はひとまず出発して東北自動車道を走りました。バス車内では1週間ほど前に行った下見の結果と17日のツアーの結果を踏まえて、この日に期待できる種の解説を行いながら進み、途中、サービスエリアでの休憩を含めても2時間ほどで最初の探鳥地に到着し、まずは観察機材の準備を行っていただきました。まずは遠くの枯れ木にノスリの姿があり、ヨシ原まで歩くとこの日も間近に餌を探すコウノトリに出会うことができました。さらに歩くと周辺の林からはヒヨドリやメジロの声が聞かれ湖畔までくるとオオハクチョウ、コハクチョウが休んでいました。湖面には数多くのヒドリガモが群れ、干潟状になっている場所にはシロチドリが見られ、遠くにはミコアイサが8羽群れていて見事な眺めでした。さらにはどこからともなくオオタカが現れ、青空を背景に見事な飛翔を見せてくれました。来た道を戻るとヨシ原には複数のオオジュリン、さらにはカワセミが2羽とまっていて、コウノトリは4羽になっていました。その後は隣接する沼にも立ち寄りました。ここではオナガガモに混じる1羽のトモエガモのオス、さらにはハシビロガモ、キンクロハジロ、マガモなども見られました。その後はトイレに寄っていただきましたが、ここでは幸いにも電柱に止まっているミヤマガラスを見ることができ、柿の実にはハシブトガラスがやってきていました。次の探鳥地ではミコアイサのオス、メス、桜の木に止まっているカシラダカを見てから一旦、付近にある公園で各自昼食の時間としました。昼食後はミヤマガラスの群れを探して周辺の畑地をめぐってみることにしました。この日も残念ながら大きな群れに出会うことはできませんでしたが、たまたま数十羽程度のミヤマガラスの群れが地上採食していたことから見てみると、驚いたことにその中にかなりの数のコクマルガラスが混じっていました。バスを降りて見てみると成鳥だけでも4羽が見られ、幼鳥も含めると10羽以上のコクマルガラスに出会うことができ、上空にはノスリが旋回飛翔していました。その後はいよいよ渡良瀬遊水地に向かいました。まずは前回同様、下見時に見られたメジロガモを探しに行ってみました。この日は全体的にヨシガモの個体数が少なかったですがメジロガモに出会うことができ、盛んに潜水する様子をしっかりと観察することができ、付近のヨシ原ではわずかな時間ながらベニマシコにも出会うことができました。その後は渡良瀬遊水地内の公園を歩き、谷中湖が一望できる場所からは湖面に浮いているかなりの数のミコアイサが見られ、ほかにもかなりの数のカンムリカイツブリが見られ、どこからやってきたのか1羽のマガンが飛び回り、飛翔するチュウヒも見られました。そして閉門時間の16:00に合わせて渡良瀬遊水地から出て、最後は堤防上から塒に帰ってくる猛禽類を観察しました。今期はチュウヒの個体数が少なく期待したような状況にはならないのですが、日没に合わせるように複数のチュウヒが飛び、幸いにもたった1羽ながらハイイロチュウヒのメス、そして高速で飛んできたコチョウゲンボウのオスが木に止まってくれ、これらを観察して周囲が薄暗くなった16:45にこの日の探鳥を終え、同時に2022年の私が担当するツアーの全てが終了となりました。

12月恒例となっている渡良瀬遊水地周辺をめぐる日帰りバスツアー。今年はコウノトリが間近に見られ、メジロガモとの出会いもありました。またハイイロチュウヒ、チュウヒ、ノスリ、オオタカ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウといった猛禽類をはじめ、オオハクチョウ、コハクチョウ、ヨシガモ、トモエガモなどの水鳥、またカシラダカ、ジョウビタキ、シメ、ベニマシコ、ミヤマガラス、コクマルガラスといった冬鳥にも出会うことができました。本ツアーをもちまして私が担当する2022年のツアーはすべて終了となりました。今年もありがとうございました。今後とも鳥の観察会のバードウォッチングツアーをよろしくお願いいたします。

石田光史

コクマルガラス 撮影:鈴木京子様

 

メジロガモ 撮影:上田恵様

 

カシラダカ 撮影:鈴木京子様

 

ノスリ 撮影:上田恵様

 

ホオジロ 撮影:鈴木京子様

 

マガン 撮影:上田恵様

 

ノスリ 撮影:鈴木京子様

 

ミコアイサ 撮影:上田恵様

 

チュウヒ 撮影:上田恵様

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