【ツアー報告】アカショウビンに会いたい!八東ふる里の森 2023年6月11日~12日

(写真:オオコノハズク 撮影:宅間保隆様)

鳥取県にある八東ふる里の森は、アカショウビンやコノハズク、オオコノハズクといった観察する機会の少ない種が渡来するブナ林として有名な場所で、以前からツアー企画の候補地となっていましたが、設備面での問題がありなかなか進まない状況にありました。しかし、管理会社の変更によって設備面の改善、食事の提供が行われるようになったことで、数年前からツアーをようやく企画できるようになりました。種によって観察しやすいタイミングは少しずつ違うのですが、今回はちょう渡ってきたアカショウビンが繁殖行動に入っているであろうタイミングを狙って出かけることとしました。

11日、前日のうちに姫路に入っておりましたが、目を覚ますと強くないながらも霧雨が降っていて、天気予報通りで雨からのスタートとなる気配でしたが、集合時間30分前の10:40頃に姫路駅前の集合場所に向かう頃にはほとんど降っていない状況まで天気が好転してきました。予定通りにご集合いただいた後に、八東ふる里の森に向けて出発しました。途中にある道の駅で昼食、休憩をとった後は、県境を越えて鳥取県に入り、ほぼ予定通りに八東ふるさとの森に到着しました。到着後は荷物を持って管理棟まで移動し、ここで部屋の鍵を預かるとともに現在のアカショウビンの状況をうかがいましたら、残念ながらここ数日は声も遠く姿も観られていないとのことでした。部屋で観察、撮影道具を準備した後は、それぞれのポイントをご紹介しながら、園内をひと通り歩きました。オオルリ、キビタキの囀りがブナ林では響いていたほか、元気良いミソサザイの囀りがよく目立っていましたが、残念ながらこの日の午後は目的のアカショウビンは囀りを聞くことがかないませんでした。夕食を食べた後はオオコノハズクの観察、撮影を行います。この時間帯になると天候の回復した空は明るさを残しながらも、気温が下がり、肌寒くなってきます。繁殖している巣箱の前で待っていると、段々と暗くなり始めた頃にアオバズクが鳴き始めました。巣箱ではヒナが羽ばたきの練習をしているのか、翼の先だけが断続的に見えるのですが、なかなかはっきりとその姿を観ることができなかったのですが、ようやく顔を出したヒナの姿を観ることができました。これからヒナがこのように顔を出し始めて、ゆっくりと観られるかと思っていると、その10分ほど後に巣箱のそばにアオバズクが飛来して、周辺に居座るようになってしまいました。ふるさとの森の人の話では、体の大きなアオバズクがオオコノハズクの餌を横取りするそうで、このアオバズクが周辺で様子をうかがっている間は、巣箱のヒナもほとんど顔を出さなくなってしまいました。21:30を過ぎたころ、アオバズクが沢の上流のほうに飛び去ると、再びヒナが顔を出し始めて、2羽のヒナが横並びで顔を出す姿も観られました。しかし、なかなか親鳥が餌を持って戻ってこないので、どうしたのだろうと思い始めた頃になって、ようやく親鳥が餌を持って飛来しました。親鳥の最初の飛来がかなり遅い時間でしたが、その後は続けて巣箱のヒナに餌を運んでいたようです。

翌12日は4:00にバンガローの前に出てみると、雨は降っておらずまずは一安心です。段々と明るくなり始めてくると、キビタキやツツドリの囀りが森の中に響き始め、段々と森が賑やかになります。そして目的のアカショウビンの囀りも聴こえ始めるようになりましたが、かなり遠いらしく、沢のそばにいるとすぐにかき消されてしまうような大きさでした。その後も朝食までの間に何回かアカショウビンの囀りが聴こえるのですが、いずれも遠くから小さな声量で届いてくるばかりでした。朝食後は、今春に一番よく見られているという沢沿いで飛来してくるのを待ち続けましたが、今年繁殖した幼鳥を連れたオオルリが時折、近くに現れては目を楽しませてくれるものの、アカショウビンは残念ながら周りに現れず、観察を終える時間を迎えてしまいました。

今回は残念ながら狙いのアカショウビンとは出逢うことがかないませんでしたが、再びその姿を求めて挑戦したいと思います。簡単に出逢える鳥ではありませんが、それだけに出逢った時の感動もひとしおです。ぜひ次回こそは、その感動を分かち合いましょう。この度はご参加いただき、どうもありがとうございました。

田仲謙介

オオルリ 撮影:宅間保隆様

 

オオコノハズク 撮影:宅間保隆様

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