【ツアー報告】冬の印旛沼と霞ケ浦 トモエガモの群れと猛禽類の塒入り 2025年12月22日
ここ数年、なぜかどんどん増え始めた印旛沼のトモエガモ。数年前から毎年現地に出向いて観察していますが、湖面に真っ黒くなるほど塊状に群れている姿、またそれらが一斉に飛び回り乱舞する様子はまさに驚きの一言です。トモエガモの大群と言えばその昔、韓国に出向いて観察するツアーに同行したことがありましたが、川幅いっぱいに群れ、あたかも島のようになって川面の色が変わっていたことが強烈に印象に残っています。今回訪れる印旛沼はさすがにそこまでの規模ではないものの、数万羽単位のトモエガモが湖面に群れ、その数は今期は20万羽とも言われています。今回は午前中はこのトモエガモの群れを観察し、午後からは茨城県まで移動して猛禽類の塒入りを観察します。幸いにもこの日の天気予報は終日ほぼ晴れで風も弱く穏やかな1日になるとの予報でした。
22日、この日は次第に天候が良くなってくるとのことで早朝の東京駅前はまだまだ雲が多い空模様でした。予定通りご集合いただいたことから東京駅前を予定通り08:30に出発して千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではいつものようにこの日に見られる可能性がある種の中から、特に目立った種に関して識別ポイントなどの解説を行いました。途中、サービスエリアで休憩をとっても2時間ほどで印旛沼に到着し、いよいよ湖面が見えてきたその時、何があったかはわからないもののトモエガモの大群が飛んでいる姿が見えました。群れはだいたい沼の東側にいることが多いのですが、この日は西側にいたようで群れは東側に向かっているように見えました。そのため東側にある駐車スペースにバスを止め、各自観察機材の準備を進めていただいてから堤防上で探鳥を始めました。トモエガモの群れの動きはかなり活発で一斉に飛び立っては着水しといった行動を繰り返していました。また周辺のヨシ原ではホオジロ、カワラヒワ、ツグミ、アオジなどが見られたもののトモエガモを除くと湖面は寂しく、マガモ、カンムリカイツブリが見られた程度でした。しばらく観察しているとトモエガモの群れが西側に移動したことから、我々も沼の西側に移動しました。バスを降りると間近にヨシガモが群れ、ほかにもコガモ、オナガガモ、遠くの杭にはダイサギ、コサギの姿もありました。堤防上を歩いていくとジョウビタキの姿があり、トモエガモの群れが間近に群れていました。ここでは遠くの湖面に群れていたトモエガモの群れが次々に飛び立っては、近くに群れているトモエガモの群れに合流するような行動が見え、最後は間近に群れているトモエガモが一斉に飛び立ってやや遠くの湖面に降りる様子を見ることができました。時間がきたことから道を戻るとチョウゲンボウが飛び、鉄塔に止まっているハヤブサも見ることができ、その後は公園まで移動して各自昼食の時間にしました。昼食後は1時間ほど移動して茨城県に向かい、途中にあるポイントにも立ち寄ってみました。ハス田では農道上で餌を探しているタゲリに出会うことができ、やや距離があったものの次第にこちらに向かって歩いてきてくれたことから良い光線状態、良い距離感で観察、撮影することができました。その後は休憩を挟んでさらに探鳥し、水田では杭に止まっているカワセミが見られたほか、タシギ、タカブシギ、タヒバリ、セグロセキレイの姿もありました。その後は猛禽類が多い干拓地をゆっくり流していると、電柱に止まっているノスリが見られ、群れで飛んでいるタゲリが地上に降りたことからバスを降りて観察していると、どこからともなく飛んできたハイタカに驚いて飛び去ってしまいました。そして最後は電線に止まって昆虫を食べているチョウゲンボウをたっぷり見ることができました。やや時間が押してしまいましたが16:00前からは塒入りのポイントに行ってみると、すでに数羽のチュウヒが飛び、探鳥開始とほぼ同時にハイイロチュウヒのメスが飛んできてアシ原上を飛び回っていました。また小鳥類を狙ってか、コチョウゲンボウのメスが高速で飛び回っていて、我々の間近をスイスイと飛んでいました。そしてこの日は日没をやや過ぎた16:40まで観察を続け、どんどん塒に帰ってくるチュウヒの姿をたっぷり見てこの日の探鳥を終えました。
湖畔での探鳥が多いツアーでしたが、幸いなことに概ね天候が良く、風も弱かったことから、真冬らしい強烈な寒さを感じることなく過ごせた1日でした。推定20万羽といわれるトモエガモの大群は良い動きをしてくれ、圧巻の光景を眺めることができました。また塒入りでは複数のチュウヒの飛翔や木に止まる姿が見られ、ハイイロチュウヒのメス、コチョウゲンボウのメスも見られ、周辺ではミサゴ、ノスリ、ハイタカ、チョウゲンボウといった猛禽類、タゲリ、タシギ、タカブシギなどのシギ類、水辺ではヨシガモ、カンムリカイツブリ、そして冬の小鳥類も見ることができました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史








